メーデー!

旅行関係の備忘録ほか。情報の正確さは保証致しかねます。

ふしぎ星の☆出所不明な恋慕(諸企業からの御祈りと真っ白なレジュメを添えて)

 

恋は、何人をも容赦しない暴君である 

 --ピエール・コルネイユ

 

 

これはほんと、ただの日記なんですけど、

 

推定十数年ぶりに、ふしぎ星の☆ふたご姫(無印)、全51話を視聴しました。

マジで何してんの? 

わたし、しょぼっと就活生! きぎょうちゃんお祈りパワー・メークアーップ! 


ほんと、なんで急にそんな思い立ってふたご姫を視聴したかというと、何か、急に思い出してしまった、プリンスブライトのわけわからない執着をおさらいしたいな~~~~と思って、成人済みのお粗末な読解力では受け入れられないシーン等々を飛ばしながらという、雑な視聴の仕方をしていた訳ですが、

結論から言うと、十数年という時を経て、脳内で都合よく改変していた。

プリンスブライトのオルタ化は知ってたんですけど、もうちょっとシリアスな感じになるかと思っていた。

いや、視聴していた頃の記憶として、漠然と終局的雰囲気を覚えていたので、対象年齢的には、効果的だったと思います。冒頭15秒の軽いテンションで語られるふしぎ星の設定から惑星の滅びの危機とか、ちょっとトボけたセカイ系の雰囲気があってよかった。

ただ、対象年齢から十数年、修士(人文系)になった視聴者は、ブラッククリスタルに乗っ取られたおひさまの国より、余程危機的状況にあるのは、正直盲点でしたね。

玉座に座って爆笑するブライト様ごっこ、毎日してる。アッハッハッハッハッ!!!!! 真っ白なレジュメに相対する私、もしくはサークル参加時の私です。ブライト様もうやめて! そんなの、ブライトっぽくないよ! というか! そんなのブライト様じゃない!!!!!!私だよ!!!!!!!!ブーモ!!!!!裏切ったな!!!!!!!!!(一番許せなかった48話「最後の宝☆恋するブウモ!?」パールちゃん×ブーモ成立シーン)(そそのかした奴が勝手に恋の力で浄化されやがって!!!!!!!)(浄化カップリング成立をもって孤立するブライト様と界隈における自分がいよいよ完全に重なってしまう)(「僕が間違っている筈がない」(35話~40話前後のブライト様))(「私の頭がおかしいっていうのか!?!?!????」(このブログで頻出する限界フジョシワード))

それにしてもブラッククリスタル、選出した人員が善良なブライト様だったからこそ、星は救われましたが、仮にもしも私がブラッククリスタルに寄生されブラックプロミネンスの使い手になっていたら、ふしぎ星は三秒も持たなかったと思う。同人暗黒日記とか、ほんと、暗黒の力に満ちているので……

 

お察しの通り、ブライト様が好き。

前半の舞台装置としてのブライト様を、俄然推している。

なんで? プリンセスファインへの恋慕の理由が無いからだ。

 

ふたご姫作中には、成人した大人のクソ想像力では受け入れがたいダイナミックな論理展開が結構あるんですけど、ダイナミックな論理に反して、交錯する人間関係と淡い恋愛の描写、情動の動きについては、思いのほか丁寧で繊細な描写がある(個人の感想)。

ここでブライト様のわけわかんない恋慕をご説明する為、ふたご姫前半のクライマックスシーンの一つとして私が勝手に捉えている13話「こわ〜い森☆ちょっぴりドキドキの体験」における関係性を振り返ってみましょう。

この時点ではファイン→シェイド→レイン→ブライト→ファインの回し車が発生している訳ですが、これを分析していきたいと思います。

 

まずファインからシェイド(13話時点では「エクリプス」)への思慕ですが、これは所謂恋愛感情だと思う。急に現れたミステリアスで顔の良い異性へ寄せる淡い感情。この人なんとなく悪い人じゃない気がする、助けてくれたし、でも、なんか気になる。みたいな。初恋の淡さを感じて、超エモい、推せる。

次にシェイドからレイン。13話時点でエクリプス=シェイド(月の国の王子)は明かされていない設定だと思うんですけど、月の国の王子設定が明らかになった頃から振り返ってみると、ここに込められている眼差しの淡い感情を推測することは可能。個人的には、「母上に雰囲気が似てるから」だと思っています。舞台装置でありながら人間であり、必要とされない/装置として満足に動けないことに軋んだ人間性に付け込まれたブライト様とは対照的に、シェイドは今は健康状態の芳しくない美しい母親に強く心を傾け(私はこれを「信仰」と形容します)、「母を支えるために」自分の「すべきこと」を具体的に理解し、淡々と行動しているという描写があります。

彼にとって母親は一種の信仰の対象であり、無条件の好意が向かう先。双子姫に対する敵対的な言動のある「エクリプス」の時期でさえ、母と類似の雰囲気を持つレインに向かう感情は彼の行動に影響を及ぼしている。それほど母に思うところがあるのではないかと、ここは個人的にそのように解釈しました。おいしい。

というか、いよいよ最終局面を迎え最終話を見終わった後も、最終的にシェイドがファインの手を取った理由が、いまいちよく呑み込めていない。レインがブライト様を支えると心を決めているのが分かったから、じゃあ双子の片方の自分に懐いてる方の手を取るか、みたいな、そんな爛れた訳ではないといや、思います。思いますが、私のクソ読解力が全然読み取ってくれなくて、もうじき午前三時になる。私は何をしているのだろうか……

続いて、レインからブライト。これもわかる。ふたご姫前半エンディング曲「おしゃれファンタジー」中に、「おしゃまなおしゃれファンタジー」という歌詞の一節があるんですけど、レインはこの歌詞のとおり、まさしく「おしゃまな」女の子といたキャラクター像がある。彼女は初期より一貫して「異性愛」に憧れ、「女性的なおしゃれ」に強い関心を持っている。舞台装置としての初期ブライト様は、おしゃまな女の子にとって、極めて理想的な物腰柔らかで見目美しい、プリンセスを引き立ててくれる舞台装置なので、憧れとして彼を求める感情の動きは大変よくわかる。恋愛! 

 

そして最後に、ブライトからファインに向かう感情の動きですが、

これが全然わかんない。

なんで??????? 

 

ファインは「元気」というキャラクター設定。彼女は作中でマザーツリーの怒りを買い、子ザルに変身させられるシーンがあるんですけど、全然、猿に馴染んでる。そういうタイプ。よく食べよく眠り、作中でも恋心を知らない/認識できていないことを示唆されています*1

一方のブライト様なんですけど、第一話「とびきりスマイル☆ふたごのプリンセス」時点から、もうファイン様のことしか見えていない。一話を見て頂ければわかるんですけど、会場に駆け込み床でスライディングしている双子に歩み寄ると、ブライト様はファインを呼んで手を差し伸べるのですが、そこのボイスが明らかに本命ボイス。「あっこいつはガチだ」と歴ばかり長いフジョシは秒で察知、その後も窓の外を眺めながら「プリンセスファイン、貴方は今何をしているのだろうか……」とガチ惚れを見せてくれるわけですが、作中では一切そこに至る経緯の説明はナシ。

ブライト様が胸中で双子姫に言及する時、というか、彼が胸中で思い返すのは基本的にファイン。「プリンセスファイン……!」としか回想しないし、黒化した後も「プリンセスファインならきっとわかってくれる」という回想が入る。物語終盤、彼は妹によって「彼の完璧でありたいという願い、他者に期待をせず、なんでも一人で抱え込む傾向が、ブラッククリスタルの苗床になってしまった」というような推測をされるんですが、そのブライト様が唯一期待をかける対象が、恋慕を向ける対象と同じく、ファインのみ。彼はファインのことしか思わない。

また、ブライト様もその他キャラクターと同じく、双子のことを「プリンセスファイン、プリンセスレイン」と呼称しますが、その他のキャラクターによる呼称が、シェイドの「ふたご姫」と同様の、双子を呼ぶだけの呼称に過ぎない一方、ブライト様は明らかに、「ファイン」を「レイン」と区別する為、双子を区別し「ファイン」を意識するがために、そのように呼んでいるのではないかと思えてくる。いや、考えすぎじゃない? っていうと、まぁ状況証拠しかないですし、反論のしようもないです。

要するに、ブライト様のファインに向かう感情は、先に述べた三者と比較すると明らかに濃度の濃い、明確な恋慕であることは間違いないと思われる。しかし、作中において相対的に「強い」その感情に対する明確な理由付けは、一切作中で成されない。

何ならブラッククリスタルによる洗脳後、「大多数に必要とされたい」という舞台装置の軋みの方が増幅されて、ファインに対する出所不明な恋慕の描写は少なくなりますし、色々あって浄化された後の最終話では、ブライト様は「僕は素直なんだよ 君と違ってね」に代表されるように、舞台装置の役割を降りたような雰囲気を醸し出して、レインの手を取ってくれるわけですが、

は?

何だそれは。

いや、最終的に自分を説得し続けたレインに報いるのは納得するしわかるとして、前半なんでファインしか見て無かったの?????っていうのを、私は知りたい。その動機、何故? 全51話、そこの関係性について、一切のディスコースなし。

 であればファイン側からの働きかけは、ブライト様がうっかり落ちたり期待したりする態度を見せているのかどうなのかというと、彼女、多分ブライト様について特に思う所がないというか、何なら苦手そう。ブライト様の舞台装置的な振る舞いに、ちょっと引いてるところがある。

彼女は「勘が良い」というキャラ付けがあるので、ここを私の見たいように見ると、ブライト様の舞台装置と人間の間にある軋轢、舞台装置の役を自ら進んで自分に負わせてしまうような自己抑圧的傾向を無意識に感じ取って、あっ、こいつはなんか面倒な奴なのではないかと、そのように意識まではせずとも、ちょっと引いたところで見ているという感じがあるんですけど、そこにブライト様が敢えて惚れこむ要素、その一切が謎のまま幕引き。

何故???? 

シェイドのレイン推しに至る動機「母」といったような、ファインに向かうような間接的動機付けもナシ。

ただ、第一話から、舞台装置として自ら引き受けた役を降りかける程(声のトーンがマジでガチなので、フジョシ歴が長いような人間は聞けばたぶんすぐにわかる)、ファインに強い思い入れがあることだけが明らかになっている。

その状況下で迎えた13話、あのマントを貸し出すシーン、レインが先にくしゃみをしても、ブライト様はマントを同じように貸してくれたと思うんですけど、その行為に乗る、公平無私な舞台装置キャラクターの見せる「私」の載る瞬間、向ける眼差しの優しさをこそ、乙女は欲するところだと思うんですけど、それを向けられている相手の方が全然気づいていない、何ならそれを欲しがっていないという描写(千とカオナシの間にある関係との類似性がちょっとありますねこの二人)が、私は、めちゃめちゃに、ツボで、ブライト様~~~~~~そのわけわからない恋慕をファイン様にもっとお向けになって~~~~~~~~~~~~!!!!!というわけのわからない掛け声を画面に掛ける女になってしまった。

しかも私、公式カップリング成立後のGyu!は途中離脱したクチなので、恐らく十数年前から、そういう嵌り方をしていた。正体不明の巨感情が大好きなんだ。いや、ブライト様からファイン様に向けるそれは、正体不明な巨感情というか、単に出所不明のシンプルな恋慕なんですけれども、いや、しかし、恋慕に至る理由が全くわからない。彼女に何を見て、彼は何を期待したのか? より単純に「物語を都合よく回すための舞台装置としての恋慕」という回答も、それはそれで面白いような気がしてきた。舞台装置の初恋!

 

はい、お気づきの通り私、個人的にはプリンスブライトのプリンセスファインに向ける「舞台装置」の初恋ないし「舞台装置としての初恋」をめちゃめちゃに推してしまいますが、その他にもふたご姫、作中の人間模様が濃いので、人間に疲れてしまった成人たちにおすすめです。新生活オススメグッズは、ふしぎ星の☆ふたご姫(無印)。特に作中におけるプリンス・プリンセス恋模様事情。

確かに人間事情以外の物語展開等は、想像力の欠落してしまったアルコール漬けの成人脳では正直、鑑賞に耐えられないところがあると思いますが、しかしそれにしても人間関係は良かった。フジョシ歴を重ね様々な人間関係を考察した後も、素直にテンションが上がりました。純粋な恋慕の、力強い理不尽さ! あなたを見つめる、あなたを選ぶ、あなたを助ける、あなたのことが好きだから。純粋な選択が幾度となく無邪気に行われるさまが心を刺します。

自己を削る努力をするが故、研鑽をしない双子姫を当初受け入れられないアルテッサの見せる、刃物の煌めきのような美しさも推せる。というか私、ふしぎ星の中では特に宝石の国推しなんだな。ふしぎ星全体の中でも「技術発展」という人間の業を一身に背負った王国の末席に座る、舞台装置としての王子と刃物のような美しさを持つ姫。ひえ~~~~~~っ エモ!!!!!!! そして抜き身の刀のような美しさのアルテッサが、まさしく鞘のような性質を持つ隣国の王子の手を取った時の感動!!!!!!! かざぐるまの国×アルテッサ推しです!!!!!!!!!! 

 

と言う訳で、新生活に倦んだ皆さんにおすすめのグッズ、ふしぎ星の☆ふたご姫!是非見て下さい!!私はあらゆる事柄の手を止めプロミネンスパワーに二日を溶かしました。

前半はプリンスブライトという名の舞台装置の初恋、後半は刃のごときアルテッサが手を伸べ続けていた鞘の男の手をいかにして取るか。私のワクワクセット人間関係はこちらの二本立てです。君だけのおいしい人間関係を見つけよう!

 

 


今週のお題「新生活おすすめグッズ」

*1:44話「めざせ優勝☆シャル・ウィ・ダンス?」レインの手を取って踊るシェイドの姿に胸を痛めるが、その理由を理解せず「私の心臓どうしたんだろう」に類する発言。一方レインは13話時点でブライトがファインに思慕を寄せていることを理解し、彼女につめたく当たる。14話「プーモの修行☆ケンカしちゃったふたご」終盤で「私ブライト様のことで嫉妬しちゃっていたの」と回想している。