メーデー!

旅行関係の備忘録ほか。情報の正確さは保証致しかねます。

同人小説なんかを書かずにいられる人生が一番幸せ

 

あと三日で論文第二章を仕上げなければいけない(まだ十年分の史料分析が進んでいない)のに、プライベッターにアップされていた激エモ同人小説を読んで泣いている。

そして一つの真理に気が付いた。同人小説なんてものは、書かずにいられるのが一番の幸せだ。

 

私は趣味で同人小説を書いている。趣味と言えば聞こえはいいが、ほぼ宿痾だ。妄想に脳の空き容量を食いつぶされないために、定期的に外へ出してやる作業が必要なのだ。
元々は大手同人絵師になりたかった。しかし絵心がなく絵心を育むための努力に耐えうる精神も持たなかった。なので文章を書き始めた。それが十年近く続いている。

十年近く同人小説を書き続けるとさすがに自分のツボを押さえるのが上手くなってくるので、自分の同人小説を読んで自家発電するのが好きだ。自分の好みが無ければ自分でツボを押してやればいい。それが可能という点で、同人小説を書く技量の身についた人生は幸せだと言うことができる。まれに同人小説を読んで褒めてくれる人間もいる*1

しかし、他人の脳から出て来た激エモ同人小説を読む瞬間の幸福に勝ることはない。自分の頭の外にある概念を直に流し込まれる快感は一種、ヤクにも似ているのでは? ンギモヂイ 文章が上手い他人の激エモ同人小説大好き 一生こういうの読んで生きていたい。

ちょっとした喫茶店めぐりとかショッピングとか映画鑑賞とか旅行とか趣味にしてさ、他人の激エモ同人小説を読んでわたし、美しい涙を流していたい。自分の性癖ツボ押しフェーズが発生する以前に、他人の手による激エモ同人小説と出会いたい。

自分の性癖のツボ押し やっぱ自分がやってるだけあってスゲー的確なんですけど、ツボを押すにあたっての手間が尋常じゃないし、費用対効果としては間違いなく赤字なので。

 

ついては、私の理想の日常は次の通りです。

特に私が関係性についてキャラクター解釈などの自我を持ち始めるよりも前に*2、私の脳を経由しない激エモ同人小説を見つけて、美しい涙を流したい。激エモ同人小説を読みながら、私はオスロコーヒーに行ってパンケーキとか食って、激エモ同人小説を読みながら美しい涙を流し、帰路について家で映画を見ます。

 

現況じゃ喫茶店も映画も無理です。あと三日で論文の第二章を仕上げなければいけない。作業に来た構内で他人の激エモ同人小説を読んで、美しい涙を流している。いいな、一生こういうの読んでいたい。

自分で書かないと理想の文章が誕生しないとか言ってる奴は宇宙人です。自我が生まれる前に理想の激エモ同人小説を見ることが出来る人生が、最も幸福であると神は言っている。単純に、それが激ムズなだけです。

提出締め切り日という枷を負う人間たちのなかにいるので、わたしはこれを往々にして忘れるんですけど、現生人類の間では、小説を趣味で読むことも割と珍しいらしいので、趣味で小説を書くような奴とまみえる確率が、もう宝くじ。それが激エモ同人小説であることなんて、もう天文学的数字です。

きみは流れ星。推し同人作家に幸あれ。神のご加護がありますように。

ついでに私の修士号にも加護をくれ。いやそんな贅沢言わないから せめて第二章をくれ。キャラクター解釈ではなく史料分析の方向性にあたって自我を持ってくれよ 頼む わたしこれで、何を言えるんですか?

 


The Beatles - Help!

*1:ただし、同人小説を書く人間が、特にオタク的コミュニケーションの作法を理解しないままに、「界隈」と呼ばれる類似の原作を共通知識として持つ集団の読解認識能力に過度な期待をかけると、承認欲求がバグり精神衛生が加速度的に悪化する。悪化例は次の通り。「人類は思い出すべきである。金の他に価値あるものが確かに存在することを、無償のものなど何も存在し得ないことを。 - メーデー!」「界隈での交流/zero零細文字書きが一時の気の迷いと「同人誌さえ頒布すれば自分だって」というような思い込みでサークル参加するぐらいだったらその分貯金して南米にいった方がいい - メーデー!」「カップリング解釈という名の妄言を他者と共有したいという願望からサークル参加を始めるもコミュ力の破綻ぶりからブロック数を増やし見事ムラハチ者となった同人失格フジョシのレゾンデートル - メーデー!」など。

*2:キャラクター解釈という名の自我を持ち始めると性癖のツボが自分にしか押せない場所にうまれてしまうため。

備忘:財布を買うこと

 

わたしのコミュ力は地なのでsocial networking serviceを介してsocial networkを築けないし、逆にSNSを介してヤバな人柄が知れてしまうことで、思想に付随する創作物をわりと遠巻きにされるタイプだ*1

趣味を介して他人と親交を深められない。これまでの人生で所属したいかなる組織からつまはじきにされた経験があるわけでもなく、どちらかと言えば、うまくやっているとまではいかずとも、程々にお目こぼしをもらっている方だ。義務を介して人と役割分担をしたり、親交を深めたりすることは出来るのだ。

これが趣味になるとマジで、ビックリする程荒れ地の腐女。話しかけた所で罪悪感の薄いフォロワーは、片手で数えられる。創作活動という趣味に手を染めて五年では済まない年数を過ごしているが、その内過去に同じカップリングを嗜んでいた経歴を持つ人間は二人だ。

サークル活動とか参加すれば同好の誰かと一緒にサークル参加❤とか合同サークル❤とかあるんじゃないかと思っているそこのお前、サークル参加って実は一人でも出来るし、義務を介してつながったオタクではない他人に売り子を頼むこともできるし、売り子が隣のサークルと仲良くなってるところにわたしがサークルに戻ってきちゃって、水を打ったように周囲が静まり返ることだってあります。

趣味を介して他者と親交を深めるのには才能が必要、他人と会話で盛り上がるには才能が必要、オフ会でオタク同士の会話を盛り上げるには才能が必要ってことを証明するために、誰か会ってくれる他人いないかなとか思ってたらそういや以前、元フォロワーと、絶版になってるジャンル本を受け渡すついでに、一緒にオリエント工業ラブドールの展示に行ったことがある。あれはオフ会と言えたんじゃないか!? 結局一ミリもジャンルの話をせず、最終的にあんたまだ若いんだから人生頑張れよみたいなアドバイスをいただく、虚無の人生相談になってた。

〇〇最高ですよね!っていう話で盛り上がるには、才能と成功経験が必要です。

こういうブログ記事を量産していると、より人の寄り付かない孤の立が生まれることも、わかっちゃいるんですけど、ブログ開設前だって似たようなものだったことを思い出すと、歯止めもなくなる。

わたしも、もし己の性質を選べるのならば、ぜひともこういうエントリーを作らず、フォロワー(概念的存在)と原稿作業中に通話とかしたいし、原稿合宿とか原稿監視とかしたいし、原稿の進捗で他人に褒められたいです。今生まないといけないのは論文の進捗。生み出すと生み出した分だけ審査会で凌遅刑を執行いただくためのぜい肉が増える。でも読んでいただけるんですよね!? そのうえで感想をいただけるんですか!? すごい!! 論文ってすごい!!*2 SNSやめろ!!

 

情緒と進捗に続いて、最近財布が壊れた。

わたし一時期メルカリにアホのはまり方をして、私の手の届くところにあるもの全てに値段をつけて売り飛ばそうとしていたんですけど、その時期に購入した、二つ折りの綺麗目デザイン革財布。お値段なんと500円だった。ワンコインで買えた、その財布が壊れた。

地味カワイイOLを志向して購入した財布だったんですけど、地味カワイイの境地を超越した小銭の詰め込み方をしたのが、多分よくなかった。前々からチャックにイカレの気配を臭わせてはいたんですが、先日、ついにそのチャックがバカになった。

購入当初から小銭の間仕切りだと画像で見て思い込んでいた部分が、実のところちょっとした装飾品でしかなくて、シームレスな小銭スペースのいたるところから一円玉がコンニチワしてたんですけど、ついにそのチャックも締まらなくなったので、ここ数日、普段旅行用に使っている、アディダスマジックテープの布財布で凌いでいる。

ところで週末、また義務を介して親交を深めた人間たちとの、ちょっとした同窓会みたいな場に行ったんですけど、お勘定の場でバリバリッって元気よく開封した私のアディダス、めちゃめちゃ注目を集めてしまった。

アディダス、最高です。旅行でいつもお世話になっている。スリムなボディ、目を引く蛍光ブルー、でも会社にもそろそろ慣れてきて最近どう~?みたいな会話をしているところで、バリバリィッってやったのは、単純に私の、こう、TPOの選択ミスだったと思う。バリッってしたついでに、旅行中使い切らなかったハンガリーフォリント転がってたし。1フォリントは日本円にして0.36円です。3ユーロで1000フォリント7000フォリントぐらいあれば、フォアグラステーキが食べられます。

 

というわけでタイトルです。これまでもこれからも、大概のことを「提出締め切り終えたらやる」と擲ってしまっているんですが、さすがに財布は不便、いや、アディダスマジックテープ布財布が悪いわけじゃ決してないんですし、キャッシュレス化の進展するこの時代に、財布がヤバいなんてのは、些細な問題であるべきなんですけど、どうにもアナログ人間、結構財布を人前に出すこと、まだまだ意外にありますし、アディダスのマジックテープ、ソフィーが持っている分には、まだ可愛げがあるかもしれませんけど、少なくとも、荒れ地の腐女が所持を許される逸品ではないので、早急に購入してくれ、おさいふどこかたのむ。

 

 

ハウルの動く城1  魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)

ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔 (ハウルの動く城 1)

 

 

*1:まぎれもなく、ここには被害妄想が入っている。そもそも消費した二次創作物に感想を残す行動が貴重な社会だ。まして「趣味で」小説を読む人間はオタクでもそんなにいない(体感と偏見)。インターネットで見られる感想であるとかオタク同士の創作物の宣伝のし合いは、いうなれば砂漠で狼煙を上げているから目立って見えるだけだ。しかし世は大SNS時代、狼煙がそこら中から上がり霧の都のようになっている状況下で、火種もない状況の原因を「これはそもそも読まれないもの」と考えるか、「これは私の人柄ゆえに遠巻きにされるだけであって、自分が最高と思う自分の創作物は最高なのである」という自尊をとるかはどっちみち茨、そんなこと考える前にコミュを磨いて囲みのフォロワーを作るか、そうでもなきゃそんなことを考えるべきではない

*2:支払った学費への対価だ

ヴィエリチカ岩塩坑を信じろ

 

フジョシというかカップリングオタクたちが徒党を組んで見る集団幻覚に乗り切れず、コミュニケーションもロクに取れないまま気付いたらブロ解でフォローを外されていることがままある私でも、観光地を信じることはできます。観光地は裏切らない。観光地を信じろ。

 

2019年9月、ヴィエリチカ岩塩坑に行った。

 

witam-pl.com

 

そもそもがどこかから降って湧いたような東欧旅行の旅程に、強硬にクラクフ(ポーランド)をぶち込んだのは、アウシュヴィッツ強制収容所博物館目当てだった。こちらは折角だしついでに行こうというテンション。つまりあんまり下調べをしていないのだ。わたし、これまでの多くのエントリーで自分のこの下調べの薄さを深く反省しているんですけど、こいつさては学ばないな?

 

現地入り前(だいたい七月とか八月とか)

同行者の社畜ぶりをいいことに、私は独断でヴィエリチカ岩塩坑のツアーに申し込んだ。何せ世界遺産登録第一号の内の一つ、愛知万博ポーランド館のメインテーマである。そのヴィエリチカに、人生でここまで接近することはもうないだろう。行きます(即決)。

ヴィエリチカ岩塩坑の観光ルートには「ツーリストルート」と「マイナーズルート」がある。ツーリストルートでは普通に坑道を観光するらしい。一方のマイナーズルートでは、なんか、鉱夫の格好をして、実際に三時間塩を掘り出していくらしく、終了の暁には、修了証ももらえるらしい。

修了と名の付くものは何でもかんでも喉から手が出る程欲しい。なので暫く悩んだのだが、私は地下のキンガ聖堂とそこにある塩製シャンデリアを確実に見たかったので、ツーリストルート英語ガイドツアーを予約した。マイナーズルートで聖堂を見られるかどうかはいまだによくわからない。誰か鉱夫修了した人います? 聖堂がルートに組み込まれているかどうか教えて欲しい。 

申し込み終了後、同行者には後から「世界遺産第一号の一つ」「地下の空気は肺に良い」などと雑な宣伝をした。オタクで私の布教に乗ってくれる人間は今のところ実績ゼロなんですけど、同行者は簡単に乗ってくれた。持つべきものは尻の軽い同行者だ。

飛行機に乗る前日にバウチャーを印刷し、手荷物にいれた。

 

現地(旅程開始~ヴィエリチカ前日)

日本から出国しまず台北桃園国際空港、そしてバンコクスワンナプーム国際空港で深夜二時の乗り換えを済ませた後、ウィーン国際空港からクラクフ・バリツェ国際空港に到達した我々は限界だった。

私や同行者のみに限らず、ウィーン到着時点で、乗客の多数を占めるアジア人たちは一様に異臭を放っていた。何故? 夏の亜熱帯から風呂にも入らず乗り継いできたからでしょうか?

 

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ウィーン国際空港出発ターミナル 私のベッドよりデカイソファ

ウィーン国際空港時点ででかいソファに寝そべり、ひたすら乗り継ぎの時間を待った。

これが数年前ならお互いにはしゃいでいるので、こう、多少無茶して市内に出て観光したりもしたと思うんですけど、端的に限界。往路でありながらテンションが復路。なんか自分、臭いし。

 

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クラクフ・バリツェ空港 鄙びている

 

ここから以降の道行きをダイジェストするんですが、「クラクフ・バリツェ空港から市内までの移動でバスの運賃を払いたくても払えない」「込み合う車両内でなんかすげぇ絡んできたおっさんが口を止めたと思うと目の前で飲酒スタート」「飲酒乗車のおっさんが目の前に立ってる人体のデカイ尻に向かって腰を振り始める」「Booking.com経由で借りたアパートメントの電子ロックが開かない」「旧市街を女性水着で颯爽と歩くおっさん」等々、個別イベントやスチルが盛りだくさんの道行きが発生してしまったんですが、ここから得られる教訓は以下の通りです。

「2020年に向けてやたら工事してるっぽいので、クラクフの電車は結構少ない 運が悪いと電車がない時間がある」

「上をカバーするためにやたらバスの本数が増えている。鉄道の時刻表にこの代行バスの時刻が記載されていることがある」(これを鉄道が出る時刻だと思い込み私は空港から市内に行くホーム上で鉄道のチケットを購入した。その後に必要なのがバスのチケットであることに気付く。運賃はドブに捨てた)

クラクフのバスチケットはバス停或いはバス内の自販機で買えるが、バス内の自販機は非接触型決済が搭載されたクレジットカード、或いは硬貨しか使えない。バスの運転手からは購入不可」

「空港から市内のバスはクソ混む 道もクソ混む あとすっげぇ揺れるので可能であれば電車で移動した方がいい」

Wi-Fiは神、今回これがなかったらマジでアパートの開錠コードがわからず詰んでいた」

以上です。おっさんはマップに点在するオブジェクトとして扱います。具体的な対策はないです。

 

こういうことをしていると、岩塩坑直前日まで現地交通について何一つ知らぬままに生きることになる。

前述のとおりあんまり電車がアテにならない世界線のため、ヴィエリチカへもバス移動をすることだけは決めていた。

しかし正直、この時点でバスが相当な負の記憶になっている。しかしすでにツアー予約で2400円ぐらいの支払いは済んでいるし、スキップするには惜しい。二度とあのバスには乗らないと神に誓ったと呻きながらも、義務感から検索を続ける。

 

witam-pl.com


中央駅に近いところに宿をとっていたため、上記のサイトを参照しつつ市バス304番から向かうことにした。

www.mazourkairis.com

 

しかしネットサーフィンをしている内に、「Wieliczka Kopalnia Soliというバス停がない」という話を見つけてしまう。落ち着いて見れば情報は2015年、上述の2018年版の方が年が新しいし、順当に考えればそちらを信用すべきなんですけど、万一バスに乗ってから降り口がわからんという事案が発生することを恐れ、念を入れて304番のバスについて調べ始める。

 

www.krakowcard.com



ちなみに、クラクフカードについてはちょっと調べてみたら「元が取れない」という意見が多かったので使わなかった&我々は滞在が3.5日間でアウシュヴィッツヴィエリチカに行っているので、旧市街の博物館であるとか何であるとかの観光施設が開いている内に回れないし、確かに元は取れなかっただろう という感想があります。

 

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[典拠元]http://www.krakowcard.com/how-to-get-to-wieliczka-salt-mine


これがクラクフカードページに載っている地図なんですけど、縮尺の感覚がよくわからない。あと市バス304番、二つ停留所がありますけどどっちがWieliczka Kopalnia Soliなんだ?

 

文明人らしくここでグーグルマップ見ろよという話なんですけど、宿のWi-Fiが残念なことにクソ弱な上*1、この時点で不注意により持ち歩きWi-Fiの容量を使い切ってしまっていた。

しかし仮にウェブ環境が満足に整っていたとしても、グーグルマップから正しいバス停を見出すことは困難だっただろう。


そもそも公式サイトに何か書いてないのかと思ったが、グーグルマップへのリンクがあるのみだった。 私はスマホをスリープモードに移行した。

 


当日

バス停の場所を確認しに行くと、バスを待つまでもなく二台バスがたむろしていた。

時刻表通りに市バスが動いているのであれば、乗りたいと目している時間まで二時間強あったが、この際ヴィエリチカに向かってしまおう、もうどうにでもな~れという方向で話がまとまってしまう。

バス停にはチケットの自販機がなかった。バス内の自動販売機を使うにもシステムがよくわからないため、ダメ元で小銭を握りしめ、バスの運転手に向かって「お前からチケットを買わせてくれ」と懇願するも、運転手は困惑顔でバス内の自販機を指さした。

そうしている内に、観光客の気配を察したらしい乗客の老婆に導かれ、自販機でチケットを購入。何かすごい話しかけてくれるが、怒涛の推定ポーランド語を前に何を言っているのかわからない。ヴィエリチカ、ヴィエリチカサル*2 ……などとモゴモゴしていると、状況を完全に理解した表情の老婆が、実に慣れた手つきでチケットを購入してくれた。アリガト、アリガト……しかし空港で地球の歩き方をにらみながら暗記を試みた、ポーランド語でのアリガトウを思い出せない*3。センキュ、センキュ……老婆センキュ……

ちなみにアウシュヴィッツ行きのバス(ライコニック)は、運転手からチケットを購入できた。自販機と戦う必要があるのは市バスのみのようだ。

 

バスに乗車すると、朝から異様にテンションの低い同行者はさっそく眠りについた。クラクフ入りとともに生理入りを迎えた彼女は、一般に最も重いといわれる二日目にアウシュヴィッツ強制収容所博物館がぶち当たってしまい、強制収容所博物館ツアー後半、前半に増して延々と屋外、九月の直射日光のなかを徒歩で行くビルケナウの道行きでは、さながら巡礼の面持ちで足を引きずっていた。その日は三日目だった。

その内に乗客が徐々に増え、バスが動き出した。果たして本当にこのバスはヴィエリチカに向かうのだろうか。バス停の経路表示にはWieliczka Kopalnia Soliがあったので、とりあえずその辺まではいけるだろう。しかしWieliczka Kopalnia Soliのバス停は、あの地図(前述)のどっちの304なのか。停留所の電光表示が見えない。このバスの中に電光掲示板はないのか? ではリスニングしかない。英語のアナウンスに期待しない方がいいだろう。果たして私はポーランド語を聞き取ることができるのか。不安な気持ちを残したまま、中央駅はどんどん遠ざかっていく。クラクフ市バスは何故こうも揺れるのか? まどろむ同行者はヘドバンを繰り返している。

私は眠気を振り払うようにあくびを噛み殺しながら、窓の外を見つめる。市内から落書きの目立つ郊外に出て、段々と、緑が目立ち始める。アクリル板で区切られたようなバス停に、金槌を並べたスカイブルーの紋章が描かれるようになる。ヴィエリチカに入ったのだ。市の紋章を覚えていたことに、これほど感謝したことはない。

 

などと延々不安な道中の状況を書き連ねたところで、結果としては、どうということはなかった。流石世界遺産登録第一号、ポーランドの誇る屈指の観光地、Wieliczka Kopalnia Soliで、実に観光客らしい出で立ちないし顔立ちの人間は皆下り始めるし、それに従って下りれば目の前に坂道、道沿いに塩に関する土産や特に関係ない土産を売りさばくちょっとした土産物屋。ささやかな人波に身を任せて歩いていくと、そこにはWieliczka Salt Mineの入り口があった 

あった!!!!!!!!!!!!!!!!! なんだあのわけわかんない地図!!!!!!!!!! 縮尺そんなに広くなかった!!!!!!!!!! 嗚呼!!!!!!!!!!!! 汝観光地を信じよ!!!!!!!!!!

 

というわけで、この通りツーリストルートの入り口はWieliczka Kopalnia Soli が最寄りで間違いないと思う(2019年9月時点)。

マイナーズルートの場合はもうすこし市内寄りだと思われる。今グーグルマップで見た感じだと、Wieliczka Mediatekaとかがそれっぽいが、まさか上述の文章を読んだ上で、ここに書いてある不確かな情報を、裏取りもなく参照しようと思う猛者はいないと思う。 いちゃだめ このブログの文章は無責任なので ちゃんと自分で調べて。

 

入り口でバウチャーをチケットと交換する。この時点でツアー開始まで二時間近くあり、受付の人に勧められるがままTężnia Solankowaに行く。

なんか木組みの、ビーバーとかが好きそうなタワーだった。岩塩坑からくみ出した水をここで濾過してるんだかしてないんだかただ噴水にしているんだか 肺にいいらしいが一行総勢二名で呼吸器に不安のある者はいなかった。

塩分を含んだ霧は不純物があるからか純正(?)の霧スプレーよりもなんか粘っこい。地面から出ている噴水が虹を作っており、女児ふたりは疲弊の中でもそれを見たときばかりはテンションがやや上がった。

 

昼食は岩塩坑入り口に近い雰囲気のいいレストランに入ることにした。

入り口と机を仕切る間仕切りに、おそらくイタリアの街路・街並みをイメージした壁紙が張り付けてあった。背の高い花が背の高いガラスの花瓶に生けられ、テーブルに置かれたろうそく型をしたオーナメントが、電気の力でちらついていた。

ここで食欲の失せている同行者はチェリー何たらという名前のなんかおいしそうなチョコレートケーキを頼み、食べ物で珍奇なものを頼んではハズレを引くことの多い私は、ヴィエリチカバーガーを頼んだ。ネーミングに負けたのだ。パテの代わりにベーコンを挟んだおいしいバーガーだった。フレッシュネスバーガーで売ってそうな感じだ。あれのどこがヴィエリチカだったのかいまだによくわかっていない。 使ってる塩か?

 

15分前ぐらいから列に並び、岩塩坑内部に向かっていく。

待ち合わせ場所からさらに地下へ下るにあたって、また謎の音声ガイドが配布されるが、アウシュヴィッツ強制収容所博物館のものよりも操作は易しく、ツアー開始前に「チャンネルを〇〇〇番に合わせろ」という指示がされる。それに合わせればあとはガイドがマイクに話しかける音声が耳元で再生される仕組みだ。

数字を聞き取るのが鬼門の私は、待合場所の長椅子で隣に座っていた老婆の手元を覗き見ようとして失敗、私の不審な挙動に気付いた老婆は寛容に微笑み、私にディスプレイを見せてくれた。サンキュ……老婆サンキュ……(二回目)

 

一事が万事この調子なので英語のガイドお前、本当に聞き取れてるのか? と皆さん疑問にお思いだと思いますが、実のところ、何となく雰囲気で聞き取っているところが9割。集中力が切れると普通に何を言っているのかわからないがうなずくかというフェーズが発生する。

しかしキンガ聖堂のような観光の目玉は目に見えるし、壁についた手をなめるとなんかしょっぱいので、岩塩坑感は十分味わえる。

岩塩坑中では他にも白雪姫の小人をモデルに掘りましたね? という新し目のアトラクションがあったり、岩塩でできた鍾乳石(塩では?)のようなものがあったり、ツアー参加者から有志を募って、当時坑夫らが切り出した岩塩を上に運ぶために使っていた大がかりな機械を動かす作業を模したりもする。

見るものも多くツアーは結構なスピード感があり、道行きには結構な高低差がある上足元は滑りやすくなっている。のろのろと足元に気を配りながらうかうかと写真を撮ると、後ろに行列ができていたりするし、そもそも写真を撮ろうにも内部結構暗いし、何か、手持ちのエクスペリアのせいなのか私の腕が悪いのか、とにかくブレるし暗いし(二度目)何がなんだかよくわからない写真が撮れてしまうことが多い。何よりとにかくよく歩く。前日も良く歩いた。その内私はカメラを起動するのもおっくうになり、壁の岩塩が描く模様をジッと見つめ始めた。マイナーズコースにうっかり応募なんかしていたら、二人そろってこの塩のシミになっていたことだろう。私は自分の賢明な判断に感謝した。

そうやって過去の自分の判断に感謝している過去の自分へ、

ツアーの最後に立ち寄るホールみたいなところに売店があり、そこで10ズロチ前後で塩のチョコレートが買えますが、最終的な出口、地上のチョコレートの方が包装がリッパで同じ値段なので、チョコレートを買うならそこで買った方がいいです。

私は地下で買ってしまい帰宅してみたら割れていたので、土産にするのをあきらめその場で食べました。中に予想外にキャラメルが入っており胸焼けしました。

 

というわけで、ヴィエリチカ岩塩坑だったんですけど、全行程の中で一番テンションが上がったのは、坑道から地上までの帰路だった。

ツアーは地下で解散、レストランと映画館があるぞと言われるも、すでに十二分に疲弊していたため、一心不乱に我々は地上を目指していた。岩塩の壁に掘られた世界遺産マークの写真撮影もそこそこに、いそいそとEXITの文字に従い歩いていく軍団に加わる。

しかしこの時点で、どうにも上に上がる気配がない。扉が開かれるとそこから先に新たな暗がり、岩塩坑が広がっている。

「ここは本当に出口なのか?」

お互いに首を傾ぎながら歩いていく。先導を切るおじさんは先ほどの英語話者ではなく、ここから先はポーランド語のみのご案内になっていた。そういえばさっきの英語話者、ここから新たなツアーもあるとさっき言っていた。誤って別のツアーに編入されてしまったか? しかしEXITと書いてあるし、え、何か下ってね? 

暗がりを歩くこと五分、我々はエレベーターに到達していた。やった! これで地上に出るんだ! もう階段を上がらなくていい! うきうき歓喜しながらエレベーターの上昇を楽しみにする我々、 下るエレベーター は!? どこにいくというんだよここから は?????

五秒足らずで到達したエレベーター到着階には、相変わらず岩塩坑の景観が広がっている。ひょっとして地獄に来てしまった? ここから出られずに死ぬのか 日の光、 日の光が見たい……何が起こるかわからないという恐怖をごまかすように口々に呟きながら、集団に飲み込まれたまま歩いていくと、トロッコがあった。 トロッコというか、より現代的な乗り物 ディズニーランドにある、西部鉄道を模したアトラクションみたいなやつだ。

我々は歓喜した 

そうして動いている姿をなんとか収めようと、こうめちゃめちゃに動画を撮り始めるが、前に座ったカップルの片割れの十円ハゲが執拗に画面に映りこむ。

全員のシートベルト装着確認、ほどなくして動き出すトロッコ、寄り添うカップルと自撮り、画面に執拗に映り込む十円ハゲ、トロッコは前に進む、時折ささやかに上がり、時折何故か下り、切り替えもなく、行く手に作業員も現れず……

やがて十円ハゲを映さぬようトロッコが動く動画を撮ろうとする努力を我々が放棄し、ぼんやりと周囲を見たころに、トロッコは止まった。

そこからさらに、エレベーターで上がったような気がする。行きついた先は、岩塩坑の入り口とは異なる場所だった。おそらくマイナーズルートの入り口に近いところだろうか……? さらなる迷子を覚悟したが、少し辺りを歩いてみれば流石に標識があり、それを頼りにツーリストルートの入り口に到達、そこから復路のクラクフ中央駅へ向かうバス停を探したが、そんなに労した記憶もない。

ですので、汝観光地を信じよ。あとは世界遺産というネームバリューに伴う英語表記の豊富さ、保養地ゆえの道行く人々の人慣れ具合、観光客っぽい素振りをする人間の波、そして寛大かつ親切な老婆を信じよ。

信じたところで救われるかはこう、運次第なところは否めませんが。

 

 

ワラ人形(藁人形)

ワラ人形(藁人形)

 

 

*1:調子がいい時を見計らってもツイッターに画像を上げるのに三分はかかる程度

*2:現地のスーパーで塩を探し求めて気付いたのだが、「ソルト」はここでは通じない ソルと言ってみたところ、「ソリ?」と聞き返された。なお私の発音がクソカスの可能性は大いにある

*3: dziękuję(ジェンクーイェン) 

コミュ力ゴミ虫同人失格者ですが、アウシュヴィッツ強制収容所博物館に行ったので備忘します

 
タイムライン(日本標準時)から時差マイナス七時間(推定)の時間軸で、フォロワーの神絵師から送られてくる表紙進捗に顔面崩壊したり、おそらくブロック→ブロ解頂いたフォロワー(過去のつながり)アカウントにおける、相互フォロワー限定公開の壁に追突したりしている。ブロックされてないだけマシでは?
同人人生を謳歌したいと思い「界隈」との交流を試みた結果生じた苦しみから、公開アカウントとツイート用の非公開アカウントを分けた過去があるんですが、非公開アカウントで自分の脳内の情勢を垂れ流してると、関心を持ってくださった他人(相互フォロー)から、非公開アカウントだけでなく、公開アカウントの相互フォローも外して頂けるダブルブロックチャンス!わたしもブロック気軽に使う性質ですしそれは全然構わないんですが、そこからの「相互フォロー限定公開」の壁がマジで分厚い。ログイン限定公開とか、フォロワー限定公開じゃダメか。ほんと、フォローとか返さなくていいので、アップされたそれを、わたしは見たい。あっ、でもわたしには見せたくないか……?みたいな思考がこもごもする。
もうこの際、ツイッターで相互フォロー公開はもうこの際いいので、人類(でかい呼び掛け)、いずれはpixivにアップしてくれよな!(たいてい相互フォロー限定公開、pixiv等にアップされなくない?※体感と偏見による個人の見解です)
 
そういうわけでコミュ力ゴミ虫同人失格者ですが、アウシュヴィッツ強制収容所博物館に行ったので備忘します。
 
私はクラクフ市内からアウシュヴィッツ強制収容所博物館に向かった。
クラクフ中央駅のバスターミナルから出てる「ライコニック」というような名前のバスに乗る。
例えば迂闊に市バスなんかに乗ると、バス内のチケットマシーンはタッチ型のクレカかコインしか使えなくて、飛行機から降りたての観光客はたやすく詰むなどするんですけど(あとマジの混雑をするしクソ揺れるので本数少なくても絶対電車乗った方がいい)、ライコニックは中央駅に隣接する窓口購入でも運転手からの購入でも、差し込んで使うクレカを使用できるので安心!料金は一人15ズロチ(20円前後)だった。
 
クラクフ市内からアウシュヴィッツ強制収容所博物館までは、バスで一時間半ぐらいかかる。なので妙に尻が深いライコニックに乗車して、時々うとうとしながら向かうんですが、わたしほんと、どう足掻いても人格がオワで、囚人と紙飛行機を口ずさみながらバスに乗った。そういうとこたぶん、ブロック→ブロ解の後相互フォロワー限定公開の作品を見掛ける原因だと思う。
 
ライコニックはアウシュヴィッツ強制収容所博物館の目の前に停まるので、後は人波に従って博物館入り口に向かう。他にバス停留所近くには軽食を食えるスタンド、博物館入り口ではない方の建物には本屋、郵便局もある。博物館ではない方の建物には地下にトイレがあり、利用には2ズロチ掛かるが、カードでの支払いにも対応しているので、安心して催そう。
ここはトイレは有料インフラの世界だ。ちなみにクラクフ中央駅の便所は硬貨のみ対応、クラクフ中央駅に隣接するガレリアとかいう名前のショッピングモールの便所は、利用料の支払い以前にクソクソ混んでて尿意が引っ込んだ。男女問わず列形成してたので、たぶんあそこも支払いがあるんだと思う。
 
 
ハイシーズン(夏場)のアウシュヴィッツ強制収容所博物館には、ガイドツアーを申し込まないと入れない。インターネットを見るに日本語ツアーが稀にあるらしいが、私は12:00開始の英語ツアーを申し込んだ。
博物館入り口には荷物検査の列があり、ツアー開始30分前ぐらいからこの列に並べるようになる。荷物検査前にインターネットで予約支払いしたバウチャーを提示、学生証のチェックがあるものと身構えていたが、パスポートだけで通過した。
荷物検査の後に博物館入り口に入場、奥のカウンターでバウチャーを見せると、音声ガイドの機械とヘッドホンの一式、そしてガイド参加者の身分を明らかにするシールを手渡され、シールを見えるところに貼ってからその辺で待つように指示される。
ガイドがミーティングスポットに接近すると、博物館奥のエントランスゲートにいる人がお知らせしてくれるので、同じようなシールを貼った人間の動きを見つつ、ゲートを潜る。
英語のリスニングが不得手な上、ここの人間のしゃべる英語は訛りが強いことが往々にしてあるので、周囲の空気を読む力が絶妙に試されてくるのだ。
極東クソ島国の同調圧力がどうのとか、普段は威勢良くキレてしまう性質なんですけど、この結果がこれ、どこでも人間同士のコミュニティ、懐に入る力、空気を読む能力が結局資本になるんだな、アハハ!笑えよ……(虚空に向かって)
 
ゲートを潜ってもすぐガイドがいるわけではなく、暫く待つ。我々のガイドは上下を薄い青のスウェットっぽいペラ服で揃えたおっさんだった。サンダルを履いていた。
ガイドのおっさんと合流するとまずヘッドホンと音声ガイドの使い方のレクチャーが始まる。音声ガイドと思っていたそれっぽい機械はおっさんのヘッドセットと繋がっており、これでおっさんの解説をヘッドホン越しに聞く機械だった。案の定説明を聞き取れず、無事おっさんに助けを求めて、音声ガイドの使い方チュートリアルをクリアした。チュートリアルは以下の通りだ。
1.機械右側面にある▲▼のボタンを同時に押したりなんとかして画面に表示されてる鍵マークを解除する
2.左側面にあるスクロールで音量を調節する
 
 
ここはアウシュヴィッツ強制収容所「博物館」と言うが、屋内展示はほぼない。アウシュヴィッツ強制収容所跡地を、延々と歩き回るツアーだ。行程は三時間を予定されていたが、同じようなことをしてるポーランド語ツアーやドイツ語ツアーがあるのでまぁ混雑するし、結果的に四時間歩き回った。
 
良く晴れた日だった。九月のヨーロッパをナメていた私は帽子も日焼け止めもなく、アウシュヴィッツ強制収容所はまだ建物内部の展示物(写真がメインだ)が多かったんですが、アウシュヴィッツ強制収容所博物館(アウシュヴィッツⅠ)から無料シャトルバスで向かうビルケナウ(アウシュヴィッツⅡ)はマジで日差しとの戦いの感があった。
他にもいくつか戦いがあり、何分後かも場所も言わず突如「じゃあ休憩のあとビルケナウ見学するからまたあとでね」と解散したガイドあるいは同ツアー参加者を雑踏のなかから見つけ出すミッションなどがあり、結局ビルケナウに着く頃にはツアー参加者が半減するなどしていたりもした。
ビルケナウ前の立ち振舞いにおける正解としては、たぶんシャトルバスの出る博物館前駐車場バス乗り場(ここからライコニックも発着する)前での待機です。緊張の面持ちで待機する我々の前に、ガイドはポテトを片手に、軽い感じでやってきた。
 
 
調べてるときに上のウェブページを拝見して、ゆうてなんかあるやろと思いながら行ったんですけど、特になにもなかった。
オルタナティブコミックのマウスを膝に受け、個人が歴史化する過程や彼我の差異に強い関心を持った人生でしたが、だいたい写真とか漫画とかで説明された景色が目の前にある感じ。
アウシュヴィッツ強制収容所博物館の方は整備されている感もあり、強制収容所というと出てくるような解放時の非人道的な栄養状態の写真をここぞとばかりに掲げてくることも無かった。
回収されおそらく再利用のために備蓄されていた髪の毛、靴、杖や靴磨き、義足、鞄や家具がところせましと並ぶケースはあった。展示スペースの都合上ごく一部しか展示はできないとガイドは説明し、わたしもまぁそうやろうなと思った。
ビルケナウに移ると、ソ連による解放当時に爆破されたまま保存されているガス室跡地なんかがあり、より遺構感が強くなる。
日差しにじりじりと焼かれながら、ひたすら草地を歩いた。ガイドの話によると強制収容所のエピソードのなかでとりわけ際立つのが冬の寒さの厳しさで、カポーは森で樹皮に火をつけ暖をとれることもあったがそれはごく一部、死のバラックですし詰めにされている銃殺待ちの受刑者の凍死を待たず、瞼や指や耳をネズミが齧っていくような話をしていた。
ガイドの説明のなかで、毎度決め台詞のように使われていたのはImagineという単語だった。敗戦後多くの書類が廃棄され、収容所における実態に関する多くの事柄は、生存者の証言しか拠るものがないと言っていた。ガス室に隣接する火葬場から集められた灰が展示されていた。
特にこれといって目を驚かすようなものはなく、当時を対象に扱った多くの作品や言説と同様に、ここに収集され消された人間の不在がうずたかく積み上がっていた。ナーロッパ的なものとして理解しているのでそれはそれでいいんですけど、衣食足りて礼節云々とも言うしマジで極限なので、囚人は有刺鉄線の外に恋とか無理じゃなかろうかと思いつつ、SSが常駐していた監視塔を横目に、二重になっている有刺鉄線を潜った。
 
見学を終え、生まれたての子羊よろしく一歩足を踏み出すごとに腰を痛めた我々は、往路同様ライコニックでクラクフ中央駅に戻り、生理痛に苦しむ同行者をベンチに座らせがてら、わたしは10ズロチ(200円前後)のアイスクリームを身ぶり手振りで買った。
味を三種類選べたので、ラズベリーと、なんか名前のよくわからん黒っぽいベリー、外国の香料のにおいがするピスタチオを選んだ。コーンに詰め込まれたアイスクリームの上には生クリームが乗っており面食らったが、甘くない上アイスクリームで冷える胃腸をやさしく包み込んでくれるいい仕事をしていた。

我々はどこから来たのかもわからず何者かの身分も曖昧なままとにかくクラクフに行くらしい(他人事)

 

エマ・ウッズの人生について考えてたら夏が終わったし、自分の人生が覚束ないし、あともういくつ寝ると出国らしいですよ! は!? 同行者は高飛び開始に向かってすっげぇ社畜してるし、一方の私は一月〆切の一世一代論文原稿が、これは一年前から薄々気付いていたことなんですけど、構想段階から骨折してない? 地鎮祭も終わってないのに、引っ越しトラックが押し寄せそうな勢い。バーカ!! こんなところに居られるか!! 一足先に抜けさせてもらう!!

 

予定している高飛び、三ヵ国周遊プランらしいんですけど、イチから一々自分で予約してる癖に、全然記憶にない。驚くほど記憶にない。予約履歴を見ると、オーストリアハンガリーポーランド。ここに行くらしいです。

「東欧三ヵ国周遊」とか言うと絶対もっとマシというか、人道的というか、王道のプランがある筈なんですけど、オーストリアハンガリーまではわかる。そこからチェコとかスロヴァキアとか、その辺抜けるルート取りの方が、無理がないのではないか?いやもうあらゆる予約を済ませてから、言うことじゃないんですけど、何これ。何でポーランド? と思って色々思い返してみると、そういえばこれ、私が無理を通して主張したことだった。

 

マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

 

 

マウスII アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

マウスII アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語

 

 

これが私の人生ブック、今に至るまで私を苦しめる人が歴史化していく過程、或いはアイデンティティ問題への関心の源(推定)なんですけど*1、同行者に「どっか高飛びしたいからプラン出してくれ」と言われた時、私そういえばこの本を持ちだして、オシフィエンチム行きを希望した。

じゃあ東欧っていうと、ウィーンとかその辺が有名どころか。 そういやウィーンが女性的で、ブダペストは男性的な都市らしい。 おっハンガリーは物価安らしいぞ!←このテンションで行程を決定

前回から何一つ学んでいないのでは? 何このゴミフットワーク 風が吹いたらどこまでも飛ぶのか? 少しは腰を据えて物を考えてみろ。

 

ところでこの旅程を組んだはるか遠い過去(マジで何時頃にどっちがこの日程確認してオッケーして予約を取っていったのかの記憶が無い)の記憶を、乱雑な文字記録の残されている手帳を片手に解読していきながら思ったことなんですけど、人類、どうやってクラクフに行ってるんですか?

 

 

クラクフ

Wikipedia(日本語版)によると、クラクフポーランド南部にある都市で、マウォポルスカ県の県都ポーランドの古都で、日本でいう京都みたいなところらしいです。

旅行サイトとかを見ていると、「ヤゲヴォ大学」とか「カジミエシュ」とか何か世界史Bで聞いたわ……みたいな固有名詞がポツポツ。

 

stworld.jp

 

www.travel.co.jp


今回の高飛びでは経由地としてのアレが強く、ここからのオプショナルツアーをブンブンに予定に入れているんですけど、割と町に見るものが多いみたいですね?(行き場の無い問いかけ)

 

今回の行程でクラクフを経由するのは、オシフィエンチムに向かう為です。あとついでにヴィエリチカにもいく。マジで経由地扱いだな過去の自分、京都だぞもっと滞在しろ。

 

visit.auschwitz.org

witam-pl.com

witam-pl.com

www.wieliczka-saltmine.com

witam-pl.com

tabitabi1110.com

 

ところでそのクラクフへの移動手段なんですけど、極東の島国にお住まいの皆さん、どうやってクラクフに向かわれているんでしょうか。

 

YOUはどうやってクラクフに?

いやマジで、

日程の問題もあると思うんですが、我々が検索した時点でスカイスキャナーで成田からクラクフまでの便がなんか物凄い便(韓国で異なる空港間乗換とか)しかなくて、直にクラクフに入るのは早々に諦めた。じゃあワルシャワは? っていうと、それはそれで便が無い。もっと早くから予約していればもう少し選択肢はあったのかもしれない、と思ったような記憶があるあたり、ここ数か月で旅程をつめたのか? そんな馬鹿な ふしぎ星の☆ふたご姫見てた記憶しかないぞ

結局、一番選べる便数が多いウィーンから入ることにしました。ウィーンは物価クソ高って聞いてるけどしゃあないのでそこから陸路移動をしよう。ヨーロッパ旅行っていうと鉄道みたいなイメージあるし、旅情~~~~

 

www.ohshu.com


調べてみたらなんか路線ありそう。五時間とか掛かるらしいけど、寝台列車とかあるし、ワッ! 夜行!旅情~~~ロマンチック~~~とか言って調べるとまぁ結構いい値段するし、そもそもサイトの仕組みがよくわかんない。ミジンコフットワークで調べているのでロクに比較検討とかも出来ていない。

 

urtrip.jp

 

取り敢えず公式サイトから買えばなんとかなるだろという大雑把な考えで区間検索をするんですが、なんか価格が便によってあまりに違い過ぎる。異様に安いチケットにはTicket for section onlyとか書いてあるし。そういうようなことをわからないなりにえっちらおっちら調べてみると、Ticket for section only、「オーストリア国境まではここで予約できる。国境を越えた先はお前が自分でチケットを取れ」という意味らしい。

じゃあポーランド側の鉄道予約はどうかっていうと、どうやら乗車日の一か月前からじゃないと取れないというのを確認して、じゃあ鉄道にするんだったら、予約はもう少し後でもいいか、という話になった覚えがある。

なおSparschiene ticketは「早割」、OBBのサイトは時刻は見やすいけど日付はあんまり大きく主張して来ないので、しつこく日付確認してくる日本の夜行バス予約に甘やかされた私さんはほんと気を付けて欲しかった(後に誤って購入した上キャンセル不可タイプの最安な買い方をした結果チケットを一枚ドブに捨てた)

 

次いで調べたのがバスだ。イギリスに行った時私はチキって列車移動したんですけど、ダウントンアビー推しで英文科に入った知人はそこでビッグバスだったかビッグベンだったか、なんかそんな感じのネーミングのバスをブンブン乗り回して毎週末格安聖地巡礼していた。

 

www.eurolines.eu

turedure0725.blog.fc2.com

www.omio.com

narumori.com

 

そういうようなことを思い出しながらなんかこのサイトで今調べたらEurolineの方は出てこなかったんですけど、Omioでは出て来た、エッ!? 以前調べた時はオッウィーン→クラクフのバス路線あるやんと思い、目当ての日程を入れたら死ぬほど出てこなくて死んだんですけれども。

 

結局どうしたかというと、金で解決した。世は大空輸時代。都市から都市の移動は、だいたい飛行機で飛べば何とかなる。

そうやって予約した格安航空、なんか荷物の持ち込みが出来ないタイプのまま予約しちゃったみたいなんですけど、本当に大丈夫なんでしょうか。

飛行機予約でトチッた同行者と鉄道予約でミスった私は顔を見合わせて笑った。彼女が笑顔の裏で何を思っていたかは推し量りがたいが、私は笑って許してくれる友達を持って本当に良かったと思った。

 

笑っちゃうほど行き当たりばったり、旅行の最大の敵はリサーチ不足と油断らしいんですけど、今のところその双子を小脇に抱えて、同行者と二人でタップダンスしている。ゆうてヨーロッパだから大丈夫だろう、英語がきっと通じるだろう、荷物の持ち込みについては、カードで支払えばきっと解決するだろう、まぁ荷物なくても死なないし、ゲラゲラ! どうなんでしょう、このようにして、いかにも平和ボケをしている。生活をしていてもそうですね。リサーチ不足と油断と手を繋ぎ輪になって踊る。ここに惰性がやってきて私の足にじゃれつく。

現在同行者に貸し出している私の人生ブックも序盤は本当にそんな感じだった。いや、正確にいうとそんな油断惰性怠惰と踊ってる訳じゃないし、全然違うんですけれども。

オルタナティブコミック「マウス」は、筆者であるアート・スピーゲルマンの父が経験した「戦争体験」を描いたものなんですけれども、父ヴラデックは裕福な家出身の才覚ある青年で「身に付けた技術は自分の身を救う」というのを信条の勤勉さも兼ね備え作中ではその勤勉さがここぞというところで光る人生を見ることになるのですが、そんなヴラデックも、特に戦争前の青年期では、知り合った女性と惰性でメイクラブして、その後その女性となんとなく疎遠になった頃に出て来た見合いの席で、彼はこれはという女性と出会うんですけど、彼女とまとまる時にその惰性メイクラブが面倒を引き起こす、みたいな、脇の甘い展開もある等、本当 人間の暮らし、なんか課長島耕作っぽいエピもある。

それがある日、「戦争」で急に物事が悪くなるという訳ではなく、日々を暮らしている内に、段々段々と悪くなっていくんですけれども、火に掛けられている水の中にいる蛙が、段々温度が上がっていくことに気付かずそのままゆで上がるという話って、果たして本当なんですかね? 例えそれが蛙にとっては事実でなくとも、人間だとそういうことは本当にあるんだろうなということを、教授ちゃんやレジュメのアレで微々たる学をつけつつ私の人生ブックを読み返す時を始め日々感じている。

これでオリンピックマジでやるのかよと思ってたら、マジでやるみたいですし、消費税マジで上がるのかよと思ってたら、マジで上がるようですし、近隣地域はなんか、エライことになっていますし、戦争発言の議員は、また別場所で戦争発言をしているようで、ええっ どうなるんでしょうねコレ こんなところに居られるか!! 一足先に抜けさせてもらう!! 一足先に抜けたところにユートピアガンダーラがある訳でもなしに、どうなるんでしょうね我々、どうするんでしょうね。

 

 

増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))

増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))

 

 

*1:人文系の学生が一定数罹患している風邪みたいなもの。特に文献史学を主とするところに所属の学生が罹患すると余程の才覚がない限り文献史学の厚みにやられてエリバ博士になる。

惨月記

 

表向きに大手を振って言える趣味として旅行をラインナップさせると、他人からは俄然アウトドア派として見て頂けるんですけど、このお盆、太陽の下に出なかった。夕暮れに起き出しては、製氷機に溜まっている氷を、口に入れてガリガリする暮らし。もし昼に起きていれば、昼の時間はほぼソシャゲに溶かし、夜に起きていれば、夜の時間もほぼソシャゲに溶かしていた。ソシャゲしてない時間は、ツイッターをしていた。リアルタイムに向こう側に人間がいるツールの吸引力は凄いなと、このお盆で改めて実感した。指を上下にシコシコスライドさせるだけで、脳に新たな刺激を得られるのだ。かといって、そんな毎秒置きに推しカップリングに関するツイートがされている訳でもないので、十分おきにカップリング名でツイート検索をかけるのは、もうそろそろやめてほしいと思う。

去る七月にははてなブログから、「ブログを開設して3年が経ちました」という件名のメールが送られて来ていた。三年前の七月というと、もう何をしていたか思い出せないんですけど、二年前の四月に何をしていたかは思い出せる。その時期に「ツイート用ツイッターアカウント」を開設したと、ツイッターが教えてくれるからだ。

 

かつて世は大同人時代であった(自分史)。

兎に角何かしら、フォローフォロワー関係から人脈を作り、自分好みの妄想を他人の頭に植え付けようと躍起になっていたんですけど、まぁ無理でしたね(この時点で二年前の四月)。

日頃リツイートしては何がしかの感想をツイートするアカウントは、たまに私の創作物をリツイートしたかと思うとその後に続けてお決まりの感想ツイートらしいものをしねぇし、後発の中堅コミュ強字書きのpixiv小説めっちゃいいね付く一方、その直下に表示される自分の作品鳴かず飛ばず

反響の無さというものを理由に筆を折れればよかったんですけど、残念ながら私は自分の書く同人文章が大好きだった。というか、そもそも自分が大好きな話を他人が創作してくれるのをずっとは待っていられずに、絵を描けないから文章を書き始めたというウカレポンチだったのだ。未だに同人小説という言葉を使うのには、若干の気後れさえ感じる。

そうして延々と自分の好きな事を書き続けては、自分と他人の間にある深い断絶、同じ原典を目の前にした時の感じ方の違い、これが解釈と言われるものか? 或いは倫理観、論理展開の違い等々を、長いこと図りかねていた。

最初は単純に、自分の作品が人目についていないだけではないかはと思い、次いで、人間はそれぞれ思想の好みが違うのだろうという、至極当然なところへと行き着いた。

しかし、どうだ? 私の介在しないところに存在する、他人と他人、カップリング観というか、思想の好みが合い過ぎでは? これは、果たして、どうだ、私がおかしいのか?

 

自分の正気を証明する為に、より多くの他人の目につくことを意識して、サークル参加とか、したんですけど、駒を進めれば進める程、ひたすらに、私の狂気が証明された。

同人誌なんて出す連中は皆狂人(くるんちゅ)だという趣旨のツイートを私はツイッターで見たことがあって、それは本当にそのとおりだと思うんですけど、それにしたって限度がある。

皆、人間と喋っているように見える。私は何だ? 壁のシミと喋ってるのか。別に壁のシミと喋ったって、自分一人の部屋では気にすることもないんですけど、同じ教室にいるように見える周りの他人は、皆人間と喋っているように見える。

 

 

人間と喋ろうと努力をした。ツイッターのアカウントを公開にし、頭を捻ってリプライに回答した。その結果いくつかのフジョシのアカウントから、お声かけを頂いたりするようにもなったんですけど、私と喋ってると、フジョシ、不思議と言葉少なになるようで、いや、コミュ障は今に始まったことじゃないんですけど、そこのコミュ障を自称するオタク同士は、いかに自分らがコミュ障で、共通する特徴を持つ推しカプの受けがどうのこうのと言っている訳です。

物言わぬ壁のシミだけが、私をジッと見つめている!

 

所謂フジョシとの交流、人脈作りの限界を感じたのが、二年前の四月だった。

私はツイッターのアカウントを新たに新設し、イベントに関するスペースナンバーの告知であるとか更新報告であるとか以外のツイートを、全て新設した非公開アカウントのみで行うようにした。

私はそれに「ツイートアカウント」と呼ぶようになった。ツイートをする為のツイッターアカウント。言葉の著しい重複を感じますねこれ。

 

タイムラインすら神経に障るような状態だった。たまたま私がpixivに何かを投稿したような時に、確実にオンラインになっている(という風に見える)フジョシのアカウントが、他人のpixiv小説を絶賛したりしているのが見えるから。

なので当時自分のタイムラインを自分ないし神経に障らないアカウントのツイートのみで埋め尽くすため、私はリストごとにタイムラインを管理するやり方を実践した。これは現在に至るまで私のSAN値減少を少な目に留めてくれる有難い手段なのですが、まずフジョシであるとか同人の者がやっているアカウントを、件の非公開アカウントでフォローする*1と共に、当該アカウントをミュートし、ジャンルごとに整理したリストに入れて観察をするのだ。こうすると、同人関係のツイートはタイムラインには流れないが、リストを閲覧すると同人関係のツイートの流れを把握できる状態を作れます。

そこに人間が存在しているらしく見えるツイッターソウルジェムの濁ったフジョシにはとにかく向かないんですが、そんなタイムラインを見ているとブチギレそうになるフジョシにおすすめのツイッターライフハックの紹介でした。

 

それで、話は私がSNSで発狂してから二年後の八月現在に戻るんですけど、

そういう訳で、訳の分からないツイッターアカウントを複数運営している状況が続いている。今はただ更新連絡用でしかない公開アカウントも、元々は交流用に持っていたものなので、矢鱈とフォロー数が多い。しかし公開アカウントでタイムラインを追うことは、情報の波に溺れたいとき以外殆どないし、ツイッターを用いて情報の波に溺れるような時間は、さっさと睡眠時間に宛てた方が余程有意義であるということを私、この二年間かそこらで学びましたので、公開アカウントの方のフォロー整理をしよう*2と思い立って、久しぶりにパンドラボックスを、それと気付かず開けたところ、出てくる出てくる。何が? 厳しい記憶だ。

かつてこの神絵師と相互フォローであった記憶だとか*3、他人のアカウントのいいね欄に見出した、かつて一度タイムライン上に感想を放流してくれたフジョシの新生アカウント*4、後は何? もう十分だ。これぐらいの記憶が復活してきた辺りで、私の神経がゴリゴリともう寿命が近いノートパソコンのファンのような音を立てて擦り切れた。

そもそもが、矛盾している。私は常に自分好みの創作を他人がしてくれることを期待している。自分が所謂創作活動に触れる原点がそこにあったからだ。しかしそれが叶うことは、本当にごく稀であるから、私は自作を続けている。しかし他人の頭の中を覗きたいという、所謂ROM願望というのか? そういったものは私の原点として強く残り続け、結果的に、フジョシ村社会において得てして称賛を受ける他人と自己とを比較する境地に至ってしまう。キャスパリーグ! どうすればいい? 悟りどころか逆悟りの境地、肥大する自我、虎! 「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁傪!呼びかけてくれ袁傪! 袁傪! 壁のシミだけが、ジッと私を見詰めている!

 

SNSでこんな狂うことが出来るならツイッターやめればじゃあ真人間じゃないのと思うこともあったんですが、じゃあツイッターが無かったら私は、この自分の意思とは無関係に湧いて出る諸々の妄想を、一体どこに書き留めればいいか、最近はGoogleメールの下書きを使ったりもするんですけど、あれ時々唐突に消えることがある(原因は私の操作ミスだ)ので、正直あまり信用ならない(しかし一番信用ならないのは操作ミスをする私の指だ)。

それに妄想ツイートをせめてオンライン上に散りばめれば誰か王子様が、私好みの何かを描いてくれる、書いてくれるかもしれないじゃないですか!(わりと振り出しに戻る)

 


人として軸がぶれている - 大槻ケンヂ

*1:最初はリストのみで管理していたが、時々リストは妙な挙動をしてアカウントが漏れたりするので、フォローが一番確実だと思っている。

*2:この時点で既にさっさと寝た方が良い兆候

*3:神絵師と相互フォローになると、ワンチャン神絵師が自分の妄言を元に神絵を描いてくれるんじゃないかという、隕石が自宅に落下する程の可能性にフジョシは縋りたくなる。※個人の考えです

*4:わざわざ同人小説読む人間はめちゃめちゃレアなんですけど、その上で感想まで見せてくれたりすると、これは個人の考えですが、書き手は感想をくれたアカウントの名前と発言の傾向(それが創作者である場合は絵柄や文体)を覚えるので、同じような界隈の人間とSNS上でつながっている場合アカウントを輪廻転生してもほぼ同定が可能

マインドゴミ屋敷からアホスケジュールの所為で使いきれなかったベトナムドンが程々に出て来た

 

物と記憶が紐づけされているタイプなので出来るだけ物を取っておきたい気持ちはあるが、一方で整理整頓して物を保存することが出来ないタイプ。結果何が何だかよくわかんないゴミ溜めが生活空間に出現、今日のゲストは旅行中の沢山のレシート、ヘルシンキ・ヴァンター空港で乗換中に購入した水入りペットボトル(流石に空)、オールボーのホテルで提供されていた粉末コーヒーパケ、その他諸々です。しかもよくわからないものを生活空間に散在させる人間の常なんですけど、失せ物が多い。人生の半分失せ物探しに使ってるんじゃない? 今日のターゲットは自宅の鍵です。

ここで生活空間が散らかってる人間にはわかってもらえることだと思いますが、失せ物は常に過去の自分との心理戦。脳内に再構築したマインドパレスにおける自室を彷徨い、過去の私なら確実にここに置くと思いながら、引き出しを漁ったり床を這いつくばったりシーツをひっくり返したりするのが常です。

ところで昨日の私、無人の家に帰宅してから、何しました? 正直あんま覚えてない。多分ゲーム。終了! 無意識のうちにしたことは、マジで推理の仕様がない。マインドゴミ屋敷を彷徨っていた探偵が匙を投げる。レシートとレジュメが積み重なった関東ローム層の中に匙が吸い込まれていく……

そういう訳で、さっき自暴自棄を体現したような手つきで引き出しを漁っていたら、ベトナムドンが七万と九千ドン出て来たので、自宅の鍵がゴミ溜めのなかから出て来てくれる気になるまでその話をします。

 

海外旅行、両替のレートどこが一番いいかとか色々あるんですけど、諸々考えるのが面倒になっちゃうタイプなので、ホーチミン旅行の際も何も考えずに、ホーチミンの空港出口近くの両替屋のおばちゃんに一万円札を差し出した。

後で計算したところ、概ねインターネットで調べたところの正規レートと変わらず手数料もそんな取られてなかった臭いので、結果的には悪くない判断だったんじゃないかと思う。

しかし何だ、どいつもこいつも桁がヤバイ。50万円札とかいうと思わず噴き出して笑っちゃうが、50万ドン札は実在する。そういえば空港で一万円札を両替する時の私も、「スモール スモールプリーズ」と貧困な英語を繰り返していた気がする。

50万ドン札はその辺のタクシーとか売店ではまず使えないので、出来る限り小さくした方がいいです。スモールプリーズを連呼した私も一枚か二枚50万ドン札とお付き合いをしたことがあり、そのどちらもホテル*1のフロントで両替した。ホテルのフロントは私の50万ドン札を見て「ちょっと待って」と言った後、小学生の持ってる連絡袋みたいなのをレジの下から取り出して確認していた。

他で両替が出来るところ私はもう空港しか思いつかないんですけど、空港の免税店とかは「えっベトナムドン? 屋台で使い切れよ 米ドルを出せ米ドルを」みたいな感じの価格設定で来る。50万ドン札ってほんとどうすればいいんだろう。不遇の紙幣か?

兎に角日本円から急激に桁の多い時空に飛ばされ、私も同行者も始終テンパっていた。二人の間の貸し借りを換算する時なんか、テンパってる同行者は二万ドンでいいところを二十万ドン出して来てマジで気付かない顔をしていたので、紙幣の色のうっすらとした違いでそれを察した私は、これは友情が試されているのだろうかと十秒程考え込んだりした。

もしもこれが二十万円だったら、多分私は彼女が言い出すまで気付かなかった振りをしたと思う。でもこれは二十万ドンなので、日本円にすると、いくらだ? うーん考えるのが面倒、ドンに揺さぶられながらも私、生来の怠惰故、結果的に友情を選んだ。友情っていうか、信頼? なお今回の同行者と私の間にあるのは「色々あって互いに死ぬほど当たり散らしたことがあるのでこいつの癇癪は底が見えている」というタイプの、負の連帯なんですけれども、友情という言葉に手広くカバーして頂きたいところですね。

 

一方のベトナムさんサイドも、日々やたらついてまわるゼロの数字を厭うているのかどうかは知らないんですけど、レシートとか電卓とかで打ち込むときに時々、〇〇kと打ち込んできて、下三桁の諸々のゼロを省略してくることがある。

しかしゼロの省略ならその場でクソクソテンパるぐらいで済むんですけど、数字の聞き取りや屋台での値段交渉が一番難儀した。ホーチミンで旅行客に接するような人民は概ね英語が分かるんですけど、口頭での数字の聞き取りとか最も苦手にしていたからだ。交渉のステージに立つ以前に、最初に提示されてる値段が聞き取れない。えっ? 今なんつった? こちとらミリオンとかビリオンとか日常会話でまず聞かないし、英語さんの方もミリオンのことうんたらハンドレッドで表現したりするので、もうこっちの頭が追い付かない。何!?

そのようにしてテンパる旅行中にインターネット集合知の恩恵を受け、私は「ベトナムドンからゼロ二つ取って割る二すると、大体日本円に換算できる」や「〇〇kで表示されてる数字の下にゼロを三つつけると、求められてる支払額になる」などを覚えました。

 

www.tabiilog.com

vietcam-oh.com

 

例えば前者の計算方法を実践してみますと、現在の私が持ってるベトナムドンなんかは、日本円にして395円ぐらいの価値です。ミカヅキモモコで、何か一個買えます。

 

iconicjob.jp

 

これにしたって現地ではまだ結構使えると思う金額なので現地で使い切ればよかったんですけど、現地にいるときは宿痾のケチが出てきてしまって、うまい事金を使えない。

マッサージとかアオザイ体験とかすればこんな金額すぐ突破なんでしょうけど、アホが予定を組んでるので、特に金を散財できる最終日、ベトコンの穴入ったらもう市内戻るのも面倒だし、そのまま空港でいいよというゴミスケジュールを立ててしまったばっかりに、マジですることがなくて、空港のベンチで仮眠を取り、クトゥルフ神話TRPGに興じたりしていた。どんだけ時間を余らせていたかがよくわかる例ですね。

何で空港でそこまでの長期滞在(クトゥルフ神話TRPGが出来るぐらい)ができると思った? という理由というか、言い訳をさせて頂くと、私この旅行の前に、プノンペンに旅行する時、ホーチミンを経由で使ったことがあって、その時ほんと ベトナムの空港って綺麗でいいな 窓ガラスが一杯! 現代的! もうここで降りたい 今回の目的地カンボジアなんですけど え、怖すぎ ベトナムでいいよ ベトナム旅行って一杯見るけど カンボジアって見ないじゃん ましてアンコールワットじゃないとこだよ プノンペン プノンペンやだ 怖いよ~~~~土煙に巻かれてこのまま死ぬんだ~~~という話を、同行者(同一人物)としていて、お互いになんとなくホーチミン空港に、大都会ホーチミンタンソンニャットみたいなイメージがあった。大都会じゃないです。どっちかというと、鄙びている。今回の経由地だったバンコク辺りになると、流石に大都会空港みが増してきますけれども。

 

バンコクスワンナプール国際空港、グーグルマップ曰く、アジアで最も多忙な国際空港の一つだそうですが、流石にその名は伊達じゃなかったです。24時間営業のコンビニがあって、兎に角空港自体が広い。いたるところにベンチが並んでいて、そこで横たわって寝ました。なんでベトナムから直行便で帰国しないの?一晩待った方が安いからです。じゃあもうちょっと市内で遊んでから戻ればよかったじゃん、ウルサ~~~~イ馬鹿が組んだスケジュールだから仕方ないのッ!!

しかしせめてベトコンの穴に埋まった服を取り替えたり、シャワーを浴びたりはするべきだったかもしれない。タンソンニャット空港で無料シャワーあったらしいんだけど、なんかターミナルが違うんだったか鍵がかからないんだったか面倒だったんだかTRPGしてたら終わったというか、なんだかんだ行かなかったんです。

 

live-resiliently.com

 

一方経由したスワンナプール国際空港に無料シャワーは無い(確認できてない)んですけど、大抵カードの会員とか何とかじゃないと入れない(プライオリティパスって奴だ)ラウンジの中のシャワーを現地支払いで貸し出してくれるところがありました。

 

kitagawa.ws

yum3.blog.so-net.ne.jp

ukoara.com


コンコースDに歩いていき、ミラクルラウンジの受付にてシャワーのみ貸してくれと申し出て、いくらか支払い(もう記憶がないしそのレシートもない 違うレシートはマジで一杯あるのに……)したところ、バスタオルから石鹸から貸し出してくれて、そのまま快適清潔なシャワーに入った。

シャワーだけ利用と伝えたもんで、他のサービス(ラウンジ内滞在とかフリードリンクとか)は利用できなかった。なので、多分私の支払った料金としては、上述サイトに記載されている1200バーツ?(二時間滞在)よりは安いんじゃないかと思うんですけど、なんかうろ覚えの記憶によると1000バーツちょっとはとられた覚えあるんですよね……もう私としてはシャワー浴びれたんでなんでもオッケーなんですけど、どうせなら二時間滞在1200バーツの方が色々お得なんじゃないか……

 

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立派な体格も厳しい目つきも得ていない女二人の旅行だったので空港泊にあたって空港内カプセルホテルとか色々調べたりしたんですけど、結局売店バンコクビールを買いスナックを買って、明朝出立する搭乗口から程近いベンチに陣取って酒盛りをした後仮眠、深夜三時四時頃にとろとろと起き出して、クトゥルフ神話TRPGをして居るうちに搭乗時間になった。

 

マッサ―ジとかに行かず炎天下を歩き回ったり博物館で爆笑したりアホスケジュールで六時間前ぐらいに空港着してクトゥルフ神話TRPGをして時間潰したりしてると、手元になんか微妙な額のドンが余るので、いつかハノイに行きたいなと思います。

それかホーチミンのドンコイ通りとかで売ってる、切り絵のポストカードをもっと買い込みたい。あれすごいんですよ、カードを開くと観覧車が飛び出して来て、しかもちょっと触るとくるくる動くんです。アレ見てると、心の中の幼児が大喜びする。心の中に幼児がいる皆さんはドンを握りしめて、路上でお店広げてるおっさんおばさんに向かって走って下さい。

 

P.S. 自宅の鍵 出てくる気になりましたか? 気が済んだら早めに出て来て下さい。 怒らないからね。

 

*1:星のついてるホテルで両替した。ホステルとかで両替できるかはわからない。