メーデー!

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DA PUMPのU.S.A.というベートーヴェンの交響曲第9番の第4楽章リミックス

 
定期的収入の無い身分なので転々とアルバイトをしている。数年前の大晦日正月は、人気の無いコンビニエンスストアのレジで立ち尽くしていた。今年の大晦日正月は、郵便局で年賀状を仕分け続けている。年末。仕事おさまんねぇ。クリスマスとか仕事納めとか、季節ネタに悉く置いて行かれている。着々と仕事を収めていく勝利者らのタイムラインを見つめながら、言いようもない焦燥に駆られるばかり、季節感の無い人生。
 
年末だ。
 
人生に季節感がないんですけど、民報が度を越えてさわぎはじめると、なんだか「今年はもういいかな」って気分になりませんか? わたしはなります。もう今年はいいかなって思って、あらゆる手を止めて寝転がって、今年の振り返りは今年の内に、みたいな気持ちで、堂々とpixivなどを見てしまう。いや、実のところ全然よくないんですけど。今の身分は季節労働者なので、31日に仕事が納まり1日に仕事が始まる。年が変わるだけで、平常運行。しかもわたし、本業というか、学籍をもつ身分的には、年末より年度末の方が区切りとして重いので、年末で気分が中弛みしていい理由がないんですけど、なんなんでしょうね、社会が浮かれてるからわたしも浮かれちゃっていいんだ! みたいな、逆同調圧力なんでしょうか。浮かれないで。
でも年末年始の番組の浮かれポンチ空気正直嫌いじゃないです。歌か暴力、時々グルメ。人間の娯楽って変わってないなぁって感じがしませんか? 古代ローマからっていうと、なんかそれはそれで語弊ありますけど。我々が現代の娯楽のかたちから古代ローマを再定義しているのでは?パンとサーカスという形をした記憶の場、まとまる予定のない流動系の思考を垂れ流さないで!しまって!
 
とにかく年末なんですがわたしはDA PUMPのU.S.A.が好きで好きで、年末第九と前後して流れるU.S.Aを聞けるのが私ほんとうに嬉しいんですが、たぶん今日今この時を逃すと二度とこの嬉しさ書き残せないと思うので、文字にして残したいと思います。ついでに2018年2月頃にUSAをトランジットした時習得したビザ(ESTA)について記憶に残っている限りのことを書き残したいと思います。
 
で、タイトルなんですけど。
DA PUMPのU.S.Aはベートーヴェン交響曲第9番の第4楽章だと思っている。
もっと言えば「歓喜の歌」ですね。クラッシックについては専門外なのでなんかもうおかしなこと言ってたら年末だしなと思って流してください。行く恥来る恥。
 
歓喜の歌」、年末に良く聞くアレです。或いは新世紀ヱヴァンゲリヲンクライマックスシーンというか第17使途戦闘シーンとかで流れる奴。歓びの歌ともいわれます。原題はAn die Freude。ドイツ語です。シラーっていう有名な詩人がいるんですが(世界史Bで名前だけ聞いたことある……)、Wikipedia日本語版によるとシラーの作品「自由意志」をドイツ語に書き直した作品「歓喜に寄せて」をベートーヴェンが歌詞として引用し書き直したもの、だそうです。
私は第二外国語で無意味に(本当に無意味に)ドイツ語を履修したんですが、正直クリスマス前にこれを扱ったことしか覚えていません。あとテストに若きウェルテルの悩み(抜粋文)を日本語訳しろとかあってブチギレ、単位が憤死しかかったこと。講義にあたって人権を可視化したものとされる辞書を忘れ、コースの図書館に頼み込んで持ち歩きを想定してい無さそうなでかめの人権(辞書)を貸し出して貰い回避スキル矢除けの加護を展開した結果、本当に矢除けの加護なの?ってぐらい運よく指名されず、ただ無意味にコースの辞書に散歩をさせてしまったあの昼下がり……(結構覚えてますね)
 
第九の歌詞についてはほんとWikipedia日本語版を見て頂ければもう十分!ってぐらい書いてあるのでそこらへんを参照して頂きたいですし、私の頭の中にあるのは訳出にあたり教授に指名された「Deine Zauber binden wieder,」のDeineが神を指し示すこと、そののちのディクテーションで運よく聞き取った「Alle Menschen werden Brüder,」の二文だけなんですけど、歓喜の歌というのは私が運よく聞き取ったところだけ抜き取っても「あ、人間存在の統合をうたっているな」ということがわかるものですし実際東欧革命とかベルリンの壁崩壊とか、東西分裂が統合されていく過程において全ヨーロッパ団結!(というとちょっと話盛ったかなっていう感じですが)というテンションで歌われることの多い曲のようです。どっかのクイズ番組で「歓喜の歌が中継で五大陸同時に歌われた時の映像です、この都市はどこ?」みたいな出題もあったような気がする。
 
それでU.S.Aなんですけど、この曲がいかに第九的というか歓喜の歌的であり、いかなる統合を歌っているのかを解釈していきたいと思います。
U.S.Aがカバー曲であること、懐メロ的なユーロビート(ディスコ調)を用いていること、ダンスがバズったことなど諸々あるんですが、音楽については2019年になってから深く知っていきたいと思うので、ここでは歌詞の字句解釈のみを行いたいと思います。
 
「U.S.A」の歌い上げる世界観、これは明らかに冷戦終盤における統合ム―ドとバブル経済期およびソ連崩壊から9.11までのパクス・アメリカーナにおける世界秩序の中の、まだ文化側面においてバブルの残り香があった頃の日本社会であると考えています。ちょっと時代違いますけど2005年の愛・地球博で標榜された「持続可能な社会」とか1970年代から2000年代前期にテーマとなった「宇宙船地球号」とか、あの辺。世界史の教科書でいうフランシスフクヤマの「歴史の終焉」辺り、大文字の歴史の最末期における、パクス・アメリカーナの元の資本主義的な統合、そしてアメリカの傘の下で経済発展し東京が世界の三大都市のひとつと挙げられるまでに成長した当時、かつての古い秩序を文化を享受する無邪気な視点から歌い上げたのが、U.S.Aではないのか。
冷戦期資本主義陣営における日本とか、当時の日米蜜月期の両国関係とかその辺を歌っているのではないかということもあり、厳密に第九が指すというか第九からイメージされる(ヨーロッパ)統合!イメージとはニュアンスが少し違う感じもあるんですけど、それは行く恥来る恥というか、あくまで類似のニュアンス、「統合」や「古き良き秩序」を歌い上げている点にのみ注目して、ただびととしてエモを感じていきたい。行く恥ですね。
 
パクス・アメリカーナにおける文化的バブル期の日本や、或いはパクス・アメリカーナ時代を殊に歌っていると感じられる歌詞として私が挙げたいのは以下の点
 
夢というグラス交わし
Love and peace 誓うのさ
C'mon, baby アメリ
サクセスの味方 organizer
 

 

ここが本当にエモい。
悪しきを挫く世界の警察時代のアメリカですよ。本当にエモい。
 
かつての日米関係を歌い上げる歌詞として見る場合は
 
C'mon, baby アメリ
ユナイテッドする 朝焼け
 

 

ここにおける「統合」はあくまで日米二国間のもの(でありその直後の「交差するルーツ」や直前の「ウェストコースト」辺りからもおそらくは日米両国に主眼が置かれているのではないか?という説が私の中で有力ではある)なんですが、U.S.Aを「パクス・アメリカーナによる世界秩序」を歌う歌詞として見る場合、ここで「資本主義」の元に統合されていくと読み替えることも出来ます。グローバルシティとしてのアメリカ都市部、インスパイアされていく世界の都市という構図ですね。ところで以前きょうじゅちゃんが言っていた「グローバルシティ構想が後背地の恨みによって潰えたのが現代」というような話の論拠となる本、酒の席で口が滑ったきょうじゅちゃんということもあって聞きそびれてしまって、あれが何の書籍から生まれた思想なのかあるいはきょうじゅちゃんの実感なのかがいまいちよくわからない。お心当たりの方はメールほしい。
 
で、曲の話に戻るんですけど、U.S.Aの曲中で繰り返される「交差するルーツ」や「競合していくジパングで」というあたりから、冷戦体制下で経済発展をする日本、一時期アメリカの全州を買いたたける程の経済力を持ったというのを私は漫画で見ている世代で、私は世代としてはそれらの世界を肌で知っている者ではない失われた二十年に属するアレなのでほんと、その辺の歴史をちょっとしたダイジェストイメージでしかとらえられておらず時系列もぐちゃぐちゃだとは思うんですがエモいのは兎も角、パクス・アメリカーナの元で経済的発展、復活を遂げた「我らが」祖国が経済的発展により盟主でありかつての仇敵でもある「アメリカ」を越えていく、「パクスジャポニカ」という、余りにも無邪気なそれを歌い上げているという読み替えも可能な曲であると思っています。むしろだからこそ、この曲は今現代においてここまでヒットしたのではないか?いや、普通にダンスとか曲調であって歌詞のことについては無頓着な人間が多いんじゃない?っていうとそれまでの、一個人の妄想なんですけど。
 
この無邪気さの善悪は置くとして現象としてはエモいんですこの曲。「歴史」は終わることなく我々は「宇宙船地球号」として統合されることなく争いは引き続くんですが、ユートピア建設に誰もが燃えていたあの巨大な時代における理想ではなく目標として掲げられたあらゆる統合を歌うこの曲、歓喜の歌と同じ感じで私は廃墟をバックに流したい曲トップイン2018という感じでした。最高。
 
以下から私がC'mon, baby アメリカした時のビザを中心とする記録です。
 
私がトランジットしたのはヒューストン空港。ここは地図見て貰えばわかると思うんですけどわりとメキシコ、宇宙兄弟の第二の舞台なんじゃないって、ヒビットがイエ~~~~イするところまでしか見ていない私は漠然とそういうイメージを持っている訳ですが、かなりスペイン語が幅を利かせています。英語の横にスペイン語。なんならスペイン語の方がデカいのでは? 職員の話す英語も超訛っていてわりと困惑しました。
ここでというか、アメリカ入国に必要なビザをESTAというんですが、これはロシアビザと同じくトランジットの際も必要です。というか全部がそうなのかはわからないんですけど、わたしはヒューストン経由でリマはホルヘ・チャベス空港に行くにあたって「ヒューストンで一度入国して出国した」ので、何がおこったのかよくわからないんですけど、とにかくそういうことです。本当はトランジット専用レーンがあるの? とか、並んだ列が悪かったの? とか、ヒューストンで南米に乗り入れるルートが悪かったんでは? とか、色々疑念は尽きないんですが経験は一度きりなので本当のところはよくわからないし、私はその経験に則した物しか私の経験として言うことは出来ない。とにかく、ヒューストン経由でリマに行こうとすると、なんか一回入国でスタンプ押されて、出国でまたスタンプ押されます。場所は違うんですが、2018年12月に出国した時やヘルシンキでトランジットした時は、日本・韓国のパスポート保持者はこっちでパスポートの顔写真とお前の顔を照合するぞみたいな自動機械があったので、今はちょっと違うかもしれませんが、とにかくヒューストン、一度入国します。
 
そこで入国するにあたって必要なESTAなんですが、私は以下のurlから取得しました(2018年1月頃の情報です)。
 
ロシアビザと異なり結構詳細な犯罪歴や既往歴(たしか)を聞かれるので、問題文をよく読んで選択肢のyesかnoどっちを選べば問題が無いか、文意を見るというかどこにNOTがあるのかをチェックするのがちょっとしたセンター試験のような感じで、どっちかというと日本語の方がわかりやすかったような記憶があるんですが、センター試験をしていた記憶があるなら、私、おそらく英語で取得しているな? どうなんでしょう。ロシアビザは日本語だと意味が通らない質問があったので英語の方がいいです。ESTAはちょっとよくわかんないけど日本語選べたんじゃないかな。是非ご自身の目でご確認下さい。
 
問題がなければ、確か一週間前後でメールが帰ってきます、そこで入力したパスワードだったか或いは名前だったかを入力すると取得したESTAのページへ、私はそれを印刷して満を持してヒューストン空港へ降り立ったんですが、なんか、使えたのかなアレ。手にもって走っていた記憶がある。何せスカイスキャナーで一番安い乗り合わせを選んでいるものだから、とにかく時間がない。一応90分から二時間くらい時間を見てはいたんですけど、無理。だって入国の手荷物検査とか質疑応答とか、凄いもん。チェックで特別話が長いとかはないんですけど、とにかくクソクソ並ぶ。並んでいる。アメリカ国籍持ってるマンがその行列を、横からスイ~~~~って通っていく。ファストパス。なお復路はもっと並ぶ。手で持ち込もうとしてる空港で入手したチョコレートとか全部、麻薬系の品ではないかとチェックをされるからだ。あと靴も脱がされる。厳重~~~~~私のケースはそもそも飛行機の着陸が遅れていたというのもあります。一時間出入国チャレンジ! 走って!
 
C'mon, baby アメリカ 
トランジットしていく旅行者
 
ヒューストン国際空港を全力で駆け抜けながら、私は搭乗券を落とした。