メーデー!

旅行関係の備忘録ほか。情報の正確さは保証致しかねます。

行けなくなった旅行の備忘

 

日々働いており、税を納めている。働き続けることを前提にすれば、生活はわりに安定している。

今年の営業日を終えて振り返ると、労働環境は悪くない。今のところ怒声を聞くことはないし、おおむね指示が出て、情報が共有される。指示がない時はさもやっている風に、WordやExcelを開いたり閉じたりしている。

毎日(といっても営業日に)同じ時間に起き、勤務し、他人から回されたり、適当に作り出した業務を捌いていく。このご時世に有り難さが極まる一般事務職に就き、毎日悪い夢を見ているような気分だ。

 

月収から税金が天引きされ、そこからさらに家賃光熱費等、生活に必要な雑費を差し引いていくと、実の所そこまで残らない余剰金をアプリゲームに課金し、ゲーム内で購入したキャラクター衣装が、この度全く異なるデザインの別物衣装に改変されるという憂き目に遭っている。

ゲーム内発表から継続して問い合わせを続けているが、年末休暇に入ったのか、「所定の部署に伝えます」というテンプレートの返信も届かなくなった。

 

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直近の返信メール。「カスタマーセンターです」の名乗りの前にゲーム名が入ったり入らなかったり、多少の文言の違いこそあれ、おおむね同じ返信が返ってくる。

 

Twitterを見ていると、「最適化される前に○○したい」という、最適化を受け入れる方向を前提としたオタク各々のお気持ちが飛び交っており、私の脳味噌は三々五々に散らばって抗っている。

つまり、お気持ちを表明・整理せず、現状を認識しない。底して理解しないというやり方で、課金デザインの強制変更という現実に抗っている。

 

衣装の強制的なデザイン変更、もとい「最適化」をされる前にゲームデータを全て消し、現状を「永遠」にする選択肢がある。

その一方、ゲームデータを全て放棄するには、S19推理の径衣装があまりにも好きで、「風を待つ」を明るい環境で見たいがために、霧の山荘(課金限定アイテム)とファーニチャー(課金限定アイテム)を購入する等している。ショボいカモだ。

カモは課金の費用を捻出するため、ただでさえ週に一度特売日のみの買い出しを控え、冷蔵庫では玉ねぎの外側から数えて第二層が、温めてもいない内からゲル状の飴色になっている。

 

以上が近況です。

要は、この頃はあまり前向きではないマインドセットで営業日を終え、給与から税金が天引きされ、手取りから生活費を差し引いたところのはした金を叩いて、オタク的なモノやデータへ散在すること著しい。

振り返ってみれば、最近やたらとお金を使うようになった。

学生から社会人に身分が変化して、定期収入が発生するというのもありますし、前はゲームジャンルにドはまりしてはいなかったので、そもそも課金をする必要がなかったというのはある。

しかし、「遊興費」という点だけで言えば、学生だった頃の方が全力で金を使えたはずだ。なんてったって扶養家族身分の実家暮らしだったので、アルバイトで稼いだはした金を、全額オタク趣味にブッパするのは、理論上可能だった。今の課金額は、学生時代のアルバイトで貰っていた手取りが消えはするが、まあ支払える程度の額だ。

しかし、学生生活を思い返してみると、実家のほぼ無料飯以外の局面では、割と食うに困っていた。学内生協のおにぎりが10円安いのにするかそもそも今日は食べないか、で迷っていた気がする。理論上当時存在していたはずの遊ぶ金、どこに消えていたんですか? と思って改めて思い返すと、まあたぶんほとんど旅行で溶かしていた。心当たりがこれしかない。

 

物理的に生活空間から切り離される遠方に行き、言葉もろくに通じない中、死ぬほど不安な気持ちに晒されて、心の底から旅行に来たことを後悔している瞬間に、「生」を感じる。私は器が小さいので、先進国の大都会でも余裕で大後悔ができる。

今日は昨日食べたもののこともあまり覚えていないので、あすけんの女に尋ねるが、数年前にトランジットで訪れたモスクワで、唯一覚えたロシア語を使ってたどり着いた個室内の洋風和式便座のこと、旅行中の食費が掛かりすぎるので、15DKR(日本円で300円ぐらい)の長いパンをかじりながら生活したら、大便がありえん臭気を発し始めたこと、オスロオペラハウスの天井で滑って転んでケツをしたたかに打ち付け、あまりの痛みにしばらく立ち上がれなかったこと、発熱と高山病にかすむ目で見た標高3000mの草原で、黄色い花がまばらに咲いてやたらと目についたこと、片言の中国語を使ってなんとかたどり着いたトイレ。急勾配の階段で、なんか茶色いしみがいっぱいあると思ってよく見たら、チャバネゴキブリが踏みつぶされてシミになっていたこと。そういうものばかりを、やたらと鮮やかに覚えている。

 

www.asken.jp

 

わたし、こういうかつての鮮やかな、生きていた記憶を繰り返し繰り返し、擦り切れるまで眺めながら、日一日、一営業日を何とかやり過ごし、これを思いださなくなって、記憶が擦り切れた頃に、ゆっくり死んでいくのだろう。

 

死が怖い。物心ついたような頃合から死が怖い。当時は「大人になれば気にならなくなるんだろう……」と思って、しくしく泣きながらやり過ごしていたが、成人して尚、現役で死が怖い。

芽生えた自我がやがて喪われるのは自明の理ですが、これがとんでもなく怖い。自分が自分でなくなる様が恐ろしい。気晴らしに本なんかを読んでいる時、「これを書いた/ここに題材として書かれてる人間、生きてる時間よりも、死んでいる時間の方が長いのか……」と考えてしまうとダメで、そこから長くもない睡眠時間が強制的に削られ、死への恐怖についてばかり考えるようになる。

 

これを、ほとんど毎営業日前日にやっている。死をいくら考えないようにしても考えても、今のところ確実にやってくる死を回避する術を私は持たないんですが、やがて来る死を考え続けて(一度ギアが「死」に入ってしまうと、考えを切り替えるのが非常に難しい。)ひいひい怯える営業日があまりにも嫌。

旅行先では毎秒を生きているのでやがて来る「死」を考えないのかというと、別にそうでもない。一挙一動するたびに死を連想している。飛行機を見れば墜落死、道路を見れば事故死、すれ違う人間の人相がちょっと悪ければ客死を想像、メメントモリモリ。

でも、遠出をしているときはその一瞬一瞬、毎秒をことなくやりすごすことに必死になって生きているので、「いずれ訪れる確実な死」を考えないし、寝る前に何か考えることもない。たぶん疲れてるから。あと翌朝働かなくてもいいし。

 

他にも旅行の効用はたくさんある。

Twitterでオタクがいかに連帯していようが、ブロックしてもブロックしてもミュートしてもミュートしても、検索結果やタイムラインにわけわからんカップリングが出現してこようが、旅行中は隙あらば身近な死について考え、「それどころではない」ので、正直あまり気にならない。時差による時間的な距離があると猶更だ。

旅行先で他人と会話をすることがあっても、そもそも言葉が通じないので、後から延々と反省をし続けることもない。ソシャゲに課金して手に入れたデータが、全く異なるものに挿げ替えられて、いくら問い合わせを送っても返事がなかろうが、電波環境があまり良くなく、ログインどころの話ではないので、きっとだんだん気にならなくなる。

わけのわからないもの(脱糞泥人形*1 とか)を目の当たりにしたり、なんか毛が生えたパン(いまだにあれが何だったのかわからない)とか、わけのわからないものを食べていると、毎日フルで五感を使うので、それについて考える方に力を使う。

だから、遠く確実にある死や、日常を取り巻いているうんこまみれの諸々について割く思考がなくなる。今がすべてになるのだ。

その瞬間だけ、ひどく生きているように感じられる。早く遠くに行って不安でめちゃめちゃになりたい。離れていれば離れている程良い。

 

 


行けなくなった旅行の備忘をします。

私事ですが(最初から私事ですが)、夏頃に二度のワクチン接種を終えていた。

これは私事っていうわけではありませんが、それ以前(夏ぐらい?)から、ヨーロッパ諸国では入国緩和のムードが出ていた。二度のワクチン接種を済ませていれば、待期期間なしで入国可能になっていた。

日本側の水際入国措置も、空港近くの隔離施設で待機・公共交通機関使用不可ながら、自家用車またはハイヤータクシーを3万円ぐらいで借りて自宅で待機することもできる。

本拠地が都内にあり、かつ同行者を見つけて割り勘にすれば実現可能な金額でもあった。

鎖国と揶揄られた日本側の水際対策も、いっときは一部の国に対し、待期期間が十四日間から十日程度に緩和されていた。

 

なので、2021年、年末を利用したかたちでの海外旅行を画策していた。

業界柄オフィス出勤はあってないようなものである。同じような業界に属し、今冬入籍を控えていた友人に「アイスランドでペニス博物館を見よう」とダメ元で誘ってみたところ、「ペニスは間に合っているので間欠泉が見たい」と返事が来た。

 


www.youtube.com

 

これの顛末を先にネタバレしますと、結局オミクロン株の流行により、水際対策のレベルが上がった*2ことで、旅行計画としては頓挫します。

 

island.is

 

アイスランドへの入国にあたって何が必要か・そもそもできるのか は、以上のサイトから簡単にチェックできる。(アイスランド政府のサイト・英語)


2021年11月時点、アイスランドに親類縁者がいない・アイスランド国籍を持たない人間が日本からの入国する場合、

①二度のワクチン接種証明(ファイザー・モデルナ等世界的にメジャーと認められている銘柄のワクチンである必要がある)または罹患後の回復証明書、

アイスランド入国前の登録

③出国48時間以内のPCR検査陰性証明

以上三点セットで、待機時間なしの入国が可能。

ただしこのサイトにも記載があるが、ワクチン証明が公のものかどうか等、最終的な決定権は税関が持っているので、このサイトでOKが出ても税関で突っ返される可能性はある。

 

アイスランドってどうやって行くの?

そもそもアイスランドってどこにあるの? ヨーロッパの北の果てです。グリーンランドの右下にある島。直行便はない。

調べた空路だと

エミレーツ航空で東京発ドバイ経由ロンドン・ヒースロー着

②よくわからん名前の格安航空系の便でヒースロー発レイキャビク着(※アイスランドの首都はレイキャビ(ー)ク)

2か所経由1回乗換が必要。空の上で24時間近く使う感じになる。

 

空港から市内まで

↑で「レイキャビク着」と書きましたが、実際に着するのは「ケプラヴィーク国際空港」というところだ。

これはレイキャビクから50kmほど離れたところにあり、ここから市内までの移動はエアバス(バス)かタクシー、市営バス、あるいはレンタカーでの移動になる。だいたい40分ぐらいで着くらしい。

 

icevel.com

 

友人はグーグルマップを見て、ケプラヴィークからレイキャビクを「めちゃめちゃ遠いじゃん」と恐れていたものの、「成田と東京だってクソ遠いけど一時間ぐらいで着くじゃん」と宥めた。

成田⇔東京間、個人的には結構な心理的隔たりがあるんですけど、日本での土地勘がないと「まあこんなもん」という感覚になるんですかね? 不明。有識者がいたらこっそり教えてください。

 

 

宿どうすんの

 

guidetoiceland.is

 

北ヨーロッパを滞在先にすると何より滞在費が高くつくんですが、アイスランドってマジで抜群に高いらしい。

 

旅程を考えていた時には、「夏場に涼しいとこ行くならともかく、冬にクソ寒北極圏なんか行くやつおらんやろ!w」とクソ舐めプしてたんですが、そういえばウィンタースポーツっていう、寒い時期にクソ寒エリアに行くアクティビティ、一部の人間の行動様式には備わっているらしいです。

そうでなくとも、世界最北の首都らしいレイキャビク。首都から半日かそこらのツアープランでオーロラ観光が可能な怒涛の北緯64度、何なら冬が観光シーズンでもあるらしいです。

 

よって宿がクソ高い。一年前から計画を立てていたのならともかく、9月10月頃になって「そういや今の雇用形態なら、入国後の14日間自宅待機に耐えうるのでは?」と旅行先を探しているような場当たり旅行じゃお話にならない。

トリバゴ、トリップアドバイザー、エクスペディア、ブッキング・ドットコムを一通り見たが、一週間の旅程として四日間~五日間滞在すると、宿泊費だけで都内一か月分の家賃に肉薄してくる。より詳細に言うと、現在の家賃の七割ぐらい行く。

マップ上から宿を探している時に思ったんですが、そもそもレイキャビクって(他の観光都市と体感で比較すると)宿の絶対数が少ないような感じがあって、それで余計に高値になっているのかもしれない。

 

レンタカーを借りる等して、レイキャビク郊外~もう少し離れたエリアのコテージなんかを借りるとか、あと、そもそもテント張って暮らすので宿とかは要らんわ、というアウトドア旅行であれば話は全く別ですが、無免とペーパードライバー六年目の組み合わせなので、できれば徒歩、それか公共交通機関での移動だけでなんとかしたい。

オーロラとか間欠泉は、レイキャビク発ガイド付きツアーでどうにかする予定だった。

 

とはいえ、このままレイキャビクでうっかり宿を借りると、宿泊費だけで五万を超える。不在の家の家賃を支払ったうえ、さらに家賃レベルの滞在費を支払うのか!? と現状の賃貸を引き払うことを考えながら同行者予定の友人に相談したところ、彼女が諸々調べて、より安価なホテルを見つけ出してきてくれた。

彼女とはこれまでに二度ほどヨーロッパ、そして一度南米の旅行に付き合っていただいて足を向けて寝られないのですが、どちらかと言えば彼女の方が寝床にこだわるタイプなので、宿の予約はめっきり任せているし、ついでに足の予約も任せきりになってしまっていることが多い。

言い出しっぺなのに任せきりで申し訳ないな……と思い、南米旅行中のラパスでの宿泊施設を私の方で探してネット予約したところ、「ルームキーが南京錠」のホテルを見事に引き当て、彼女からの信用は地に落ちている。

宿にこだわりがある方は、宿にこだわりがない同行者に宿探しを任せないほうがいいし、「鍵ついてればおっけ!」というタイプの人(これはこれで神経質だと思いますが……)は、任せきりで申し訳ないな……と思って下手に代行を申し出ない方がいい。やらかした時に旅行先で地獄を見るのは、お友達の方なので。

 

ハイシーズンのレイキャビク宿泊でどこが一番安かったのか、選ばれたのはマリオットホテルでした。
台湾表記問題で共産党政府に頭を垂れたグローバル企業の一角としてニュースになるぐらいの有名ホテル系列じゃないですか!? と思ったんですけど、話を聞くと彼女はSPGアメックスを所持しており、最低価格保証されたマリオットホテルに宿泊できるらしい。

マリオットホテルはレイキャビク市内に一件、ケプラヴィーク国際空港付近に一件あり、その日の都合によって空港近くで泊った方がいいかも……と選択することもできるので非常に心強かった。まあ今回は行けなかった旅行ですが、名前を知ってるホテルに宿泊できるって結構な安心なんだな、というのを旅程組んでいる時に初めて感じた。PCR検査やってるところある!?とフロントに駆け込んでも対応してくれそう。

 

アイスランド旅行の前にはSPGアメックスの会員になるか、当該アメックスを持て余していて行動力がある友人が必要。

他に何かいい方法ご存じの方は、もしよかったら教えてください。国際免許取ったりテント張ったりする以外でお願いします。助けて!

 

 

以上の旅程を考えたのが10月頭頃で、その頃には「なんかわけわからん変異株とかが出なければ予約しよう」という話をしていたのですが、ご存じのとおり、オミクロン株の登場によってこの旅行計画は流れ、どうしても遠出をしたい私は国内旅行に切り替えた。北の島に行くつもりだったので、行き先を北海道にした。

そもそも国内で飛行機に乗るような旅行をあんまりしたことがなく、Twitterに勧められるままJALANAの格安キャンペーンを眺めてスカイスキャナーと見比べ、飛行機代の高さに慄き、そういえば新幹線も個別で取るとアホ程高いけど、どういう仕組みか宿とセットで取るとなんか安くなるな、ということを思い出して、エクスペディアとじゃらんを見比べ、結局じゃらんで予約をした。

そういえば去年の年末にも札幌に旅行しようとしていたが、感染者増加によって札幌市がGOTOの対象から外されて取りやめた旅行を予約したのもじゃらんだった。今回急に決めたのであらゆる割引は完売しており、GOTOは1月以降と言われているためおそらく定価での旅行である。

新千歳から在来線に乗り継いでヒグマを見に行こうかと思いながら予約を済ませ、三毛別羆事件Wikipedia記事を読み返してから、クマ牧場のサイトを眺め、コロナか雪かどちらの影響かはわからないものの足にする予定だったバスが、一日一便しか走っていないことを知る。不安になってきた。

 

 

*1:カガネル スペイン・カタルーニャ地方で、翌年の豊穣・希望・繁栄を祈るためにクリスマスに飾られる人形(「カガネル」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年2月12日 (金) 01:57  UTC、URL: https://w.wiki/4cfs)最終閲覧日2021年12月30日

*2:アイスランド→日本入国時の待機・隔離方針が、2021年12月9日付けで「待機所または自宅で10日間隔離」から、「待機所で三日間待機後、さらに十四日間隔離」に変更された。