メーデー!

旅行関係の備忘録ほか。情報の正確さは保証致しかねます。

同人小説なんかを書かずにいられる人生が一番幸せ

 

あと三日で論文第二章を仕上げなければいけない(まだ十年分の史料分析が進んでいない)のに、プライベッターにアップされていた激エモ同人小説を読んで泣いている。

そして一つの真理に気が付いた。同人小説なんてものは、書かずにいられるのが一番の幸せだ。

 

私は趣味で同人小説を書いている。趣味と言えば聞こえはいいが、ほぼ宿痾だ。妄想に脳の空き容量を食いつぶされないために、定期的に外へ出してやる作業が必要なのだ。
元々は大手同人絵師になりたかった。しかし絵心がなく絵心を育むための努力に耐えうる精神も持たなかった。なので文章を書き始めた。それが十年近く続いている。

十年近く同人小説を書き続けるとさすがに自分のツボを押さえるのが上手くなってくるので、自分の同人小説を読んで自家発電するのが好きだ。自分の好みが無ければ自分でツボを押してやればいい。それが可能という点で、同人小説を書く技量の身についた人生は幸せだと言うことができる。まれに同人小説を読んで褒めてくれる人間もいる*1

しかし、他人の脳から出て来た激エモ同人小説を読む瞬間の幸福に勝ることはない。自分の頭の外にある概念を直に流し込まれる快感は一種、ヤクにも似ているのでは? ンギモヂイ 文章が上手い他人の激エモ同人小説大好き 一生こういうの読んで生きていたい。

ちょっとした喫茶店めぐりとかショッピングとか映画鑑賞とか旅行とか趣味にしてさ、他人の激エモ同人小説を読んでわたし、美しい涙を流していたい。自分の性癖ツボ押しフェーズが発生する以前に、他人の手による激エモ同人小説と出会いたい。

自分の性癖のツボ押し やっぱ自分がやってるだけあってスゲー的確なんですけど、ツボを押すにあたっての手間が尋常じゃないし、費用対効果としては間違いなく赤字なので。

 

ついては、私の理想の日常は次の通りです。

特に私が関係性についてキャラクター解釈などの自我を持ち始めるよりも前に*2、私の脳を経由しない激エモ同人小説を見つけて、美しい涙を流したい。激エモ同人小説を読みながら、私はオスロコーヒーに行ってパンケーキとか食って、激エモ同人小説を読みながら美しい涙を流し、帰路について家で映画を見ます。

 

現況じゃ喫茶店も映画も無理です。あと三日で論文の第二章を仕上げなければいけない。作業に来た構内で他人の激エモ同人小説を読んで、美しい涙を流している。いいな、一生こういうの読んでいたい。

自分で書かないと理想の文章が誕生しないとか言ってる奴は宇宙人です。自我が生まれる前に理想の激エモ同人小説を見ることが出来る人生が、最も幸福であると神は言っている。単純に、それが激ムズなだけです。

提出締め切り日という枷を負う人間たちのなかにいるので、わたしはこれを往々にして忘れるんですけど、現生人類の間では、小説を趣味で読むことも割と珍しいらしいので、趣味で小説を書くような奴とまみえる確率が、もう宝くじ。それが激エモ同人小説であることなんて、もう天文学的数字です。

きみは流れ星。推し同人作家に幸あれ。神のご加護がありますように。

ついでに私の修士号にも加護をくれ。いやそんな贅沢言わないから せめて第二章をくれ。キャラクター解釈ではなく史料分析の方向性にあたって自我を持ってくれよ 頼む わたしこれで、何を言えるんですか?

 


The Beatles - Help!

*1:ただし、同人小説を書く人間が、特にオタク的コミュニケーションの作法を理解しないままに、「界隈」と呼ばれる類似の原作を共通知識として持つ集団の読解認識能力に過度な期待をかけると、承認欲求がバグり精神衛生が加速度的に悪化する。悪化例は次の通り。「人類は思い出すべきである。金の他に価値あるものが確かに存在することを、無償のものなど何も存在し得ないことを。 - メーデー!」「界隈での交流/zero零細文字書きが一時の気の迷いと「同人誌さえ頒布すれば自分だって」というような思い込みでサークル参加するぐらいだったらその分貯金して南米にいった方がいい - メーデー!」「カップリング解釈という名の妄言を他者と共有したいという願望からサークル参加を始めるもコミュ力の破綻ぶりからブロック数を増やし見事ムラハチ者となった同人失格フジョシのレゾンデートル - メーデー!」など。

*2:キャラクター解釈という名の自我を持ち始めると性癖のツボが自分にしか押せない場所にうまれてしまうため。