メーデー!

旅行関係の備忘録ほか。情報の正確さは保証致しかねます。

薔薇園カブトムシ

 

漠然と運が悪いのかもしれないし、「そういう星のもとに生まれた」と言えるのかもしれないし、日頃の行いが悪いのかもしれないし、もっと具体的に言えば注意力散漫なのかもしれないし、これらすべてが奇跡のセッションを醸しているのかもしれないんですが、

 

定刻にウェブ会議に参加しようとしたら何故かスピーカーが認識されず、四苦八苦している最中に鼻血を垂らしたり、

口座情報を登録して支払い完了したと思ったら支払えてなかった公共料金の督促状が、何故か当て所不明扱いで郵便局に滞留していたらしく、支払い締切日の午後二十二時に初めて郵便受けで発見されたり*1

購入した書籍が配送途中で行方不明になり、問い合わせしてもなしのつぶてであったり(半年ぶり二回目)、

オタクであることを伝えもしていない妹*2に発掘された拙作同人誌から同人アカウントがバレて、「妙に上手いのがキツい」と公開アカウントでツイートされたことを契機に相互ブロックになったものの、その数年後同人アカウントで拙作同人誌を宣伝するフリートにちゃっかり妹の鍵アカウントから閲覧履歴がついていたり、

あとは、

専攻するカップリングが同じ非日本語ユーザーのアカウントから、なんかよくわかんないやり取りの後ブロックを頂いたりした。

 

以上、直近二週間に発生した私の人生上の実績です。

これ以外にも借りたタブレットにお湯ぶっかけて必死で拭いたり、朝食が胃腸で反乱を起こしたり、一張羅のワイシャツに鼻血が付いたりしてる。衣服からの血抜き、どうすればいいんだ?

 

わたしはツイッターを交流手段というより情報源として見ているので、ブロックには絶縁以上に環境の最適化(より良い検索環境づくり)という意味合いを見ているのですが、非日本語ユーザーとは妙な往来があったので印象に残っている。

というのも、先方にフォローされたので何も考えずにフォローを返したところ、何らかの好意的なDMがあったのだ。

私はそれになけなしの英語力で「ありがとうございます!」という感じの返信をしたのがなんか気に食わなかったらしく、ブロックでフォローを解除された後になんとなく閲覧され時々「このアカウントの視点は評価するけど人間性はクソ」「こいつ中国語できんの!? 中国人が中国語をどう使うか教えてやろうか」*3といったお気持ちの籠ったコメントを頂いているようなので観察していた*4のですが、

そう日々お気持ちを込めて閲覧されてるわけでもなさそうだし、妹も閲覧した拙作同人誌を宣伝するフリートを閲覧した後、「あいつアカウント消したんか」といった趣旨のツイートをされており、不毛な気遣い頂いてもなんだか申し訳ないしというところでブロックしたところ、目出度くブロックを頂いたという経緯で、個別案件としては円満解決で、良かった! というところ、なんですけれども、

 

類似した案件がこれまでに割と回数ある。

 

特徴としてはどれもこれも、私自身が二言以上喋ったことがない相手という点です。

 

待ってくれ……何でそんなに急ぐんだよ……まだちゃんと話し合ってないじゃないかぁあああああ

 

 

 

 

ツイッターを交流ツールとして見ると「なんかよくわからないけどこのブログを見せた訳でもなく、言葉を越えて伝わる地雷ぶりがあるらしい」

ツイッターを情報ツールとして見ると「自分が開示した情報のために閲覧不可の情報が増える」という状況に陥っており、

こうもTwitter使いが下手くそな人間がいるか? という状態。

 

SNSに限らず金の使い方も下手なので、Softbank光回線で初月に契約した諸々の解約を忘れて5月になり、そこで解約したつもりがネットで解約できないスマートレスキューの解約を忘れ6月になった。しめて5000円以上取られてない? 

 

ehicalog.net

 

あと金遣いが下手くそ(注意力散漫)な上、そういう星に生まれついており、

家具を購入するとなると出し渋りに渋り半年家具なしの部屋で暮らしだしそうだな、という懸念があって今家具のサブスクリプションをして生活しているのですが、使用料が二重で引き落とされていた(やりとりした店舗に電話したらキャンセルしてくれるとは言っていた)。

 

そういうわけで今月は数か月前の工事費の引き落としがあり、住民税の引き落としがあり、その他随所から数万円ずつ請求を受けている。

この状況下で自分の物欲を把握できていないので、好きでもないのに興味一択でバラの花びら乾かした紅茶とバラのジャムを購入してしまう。ルピシアである。

 

バラの花びらを加工したと銘打つものを見るとすぐ買って味を確かめたくなってしまう。

私はバラを食品として認知していないので、バラの味がどういう味か知りたくなってしまうのだ。

同じノリで、Togetterで取り上げられていたものを見て*5土料理を食べに行ったことがあり、ネットで見た*6分子ガストロノミーをいつの日か口に入れたいと思っている。

 

これまでに口に入れたバラの加工品の記憶を列挙する。

 

◆バラのアイスクリーム(ブルガリアのパビリオン)

 愛知万博で口にした記憶はあるが、正直遠いのではっきり覚えていない。
 今でいうローズウォーターめいた生のバラのにおいに、普通にミルクアイスの味がした覚えがする。

 

◆ローズジュース(ブルガリア産)

 函館旧英国領事館で買い、そのまま飲んだ。私の主観ではバブ(ダマスクスローズ)の残り湯の風情あるドピンクの液体。

 

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◆ローズジャム(???)

 ヘルシンキの朝市で買った。バブの気配はなく、私が食用と考えることができる程度に甘く華やかな何かの味がしたものの、はっきり覚えていないし写真もない。幻?

 

◆ローズティールピシア
 出費がかさんでるところ目が眩んで買った。紅茶っていうには野味ある茂みの向こうにあるイチゴ畑の気配。バラの花びらが入っている。

 私はバラのことを食用だと思っていないので、「バラの花びらが入ってる!」と思った。同上の理由からバラの花びらと口の中でどう接すればいいかわからず、わりと困る。絹のような触感として楽しむべき?

 

◆ローズジャム(ルピシア
 同上。
 初日は野味あるバラの茂みの向こうにあるリンゴ畑を垣間見ることができたものの、二日目以降は私の保存方法が悪いのかリンゴ畑は消え、薔薇園で砂糖水を与えられて飼育される貴族のカブトムシになった。


上の通り列挙し、味と共に高貴なカブトムシの気持ちを思い出しながらふと、バラを食用にするのってステータスシンボル由来なのかなと思い検索だけしたところ、公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会のページがヒットした。薬用として用いられることがメインだったらしい。


しかしバラ、その気になれば美味しく頂けそうという話も何となくわかる。イチゴはバラ科だし。普段食べてるイチゴは食用に飼いならされたイチゴだから、その辺のバラ毟って飼いならされた私の知っているイチゴを探すのは絶対間違ってるんですけど、バラの実とかってもしかして美味しいんじゃないか……? と思ってまた雑に検索だけしたら、ローズヒップってバラの実だということを私ここで初めて知りました。

私、これまでローズヒップのこと、イチゴっていうか、レモンとかグレープフルーツっぽい、もっと言えば毒はなくて薬効があるんだけどおいしくはないハーブだと思い込んでた。


上の通り、知識もなければ身の丈に合わない金の使い方をした挙句、また同人誌を刷ろうとしている というか 入稿してしまった。嘘でしょ!? 私が一番嘘であってほしいと思っている。しめてネット回線の工事代ぐらいする。エアブーにも申し込んでしまった。

同人誌やイベントの交流を介してオタク同士は交流を深めるらしいんですけど、宣伝フリートは妹に見られて晒し首イベントが既に発生している。何故頒布を考えついた? だって一冊分刷っても送料同じだし……私しか読まないにしてもやたら書いてしまったので、他人が同意してくれるなら配りたい……あわよくば狂って書いた内容みたいなことを再生産してほしい。私が書かなくても済むように……

 

こんな風に、コミュニケーションを介した嗜好の伝播を狙っていくにあたって、コミュニケーションをするにも、そもそも二次創作を投稿するアカウントとツイートのアカウントを分けているのが、ぱっと見た感じ人間味が無くてよくないんじゃないかという助言を頂いたこともあるものの、人間味を剥きだすとたぶん大体このブログみたいなことになる。

一体どう身振りをすればいいのか。私のどこがそんなに他人の癪に障るのか。どのようにコミュニケーションを取れば、私の妄執は救われる?
 
一方で、そもそも他人、他人のことはそこまで見てなくない? というのはある。

自分が一番自分の二次創作に時間を費やしているので、他人も存在位は認知しているんじゃないかと勝手に思い込んで居る節があるが、時々私が馬鹿みたいな時間二次創作につぎ込んでいることが知れて、第三者にビックリされることもある。

 

こういった、二次創作に手を染めたことで得られた実感のひとつ、「他人は思いのほか私を見ていない」という気付きを得られたことは、私にとって一種の救いだろう。

 

というのも、ハンロンの剃刀を腕に刺青しておくべきでは? というレベルの猜疑心を脳内に飼っているので、業務中のちょっとしたチャットやビジネス敬語に、「これは私の無能に対して皮肉を言われてるんじゃないか……」と疑って掛かってしまう が 他人は他人のことはそこまで見ていないし まあビジネス敬語でしょうねというところで適当に流して、今日も健やかに鼻血を垂らしている。なんか急に今、ビックリする程血が出てきて笑うし、全然止まらない。明日は早出で、まだ風呂にも入っていない。

 

 


www.youtube.com

*1:これはある意味運がいい。公共料金はコンビニで支払えるので、日付け変更前であればセーフだ。※ただし現金でしか支払えない。手持ちがなかったら終わっていた。

*2:同居のため、たぶんにじみ出るところはあったと思う。

*3:教えてもらえなかった

*4:ここの情緒の参考:タンペレの夕日に同志様!!同志様はいらっしゃいませんか!? - メーデー!

*5:一万円で土のフルコースを食べに行った話 - Togetter

*6:【分子ガストロノミーを食す漫画】味でメチャクチャになりたい | オモコロ

これからpixivに初めて登録しようとする私へ

 

これからpixivに初めて登録しようとする私へ

 

アルアサの神絵師サイトからpixivに誘導された、いたいけな私。どうか聞いてください。今からお前に言い聞かせるのは、pixivのアカウントは複数に分けろという話です。

何も、ジャンルごとにいちいちアカウントを分けろというわけではありません。閲覧用のアカウントと、投稿用のアカウント。その二つに分けろという話です。

何故そんなことをしなければいけないのか? ここは投稿を介して創作者と交流することのできるプラットフォームではないのか。

絵描き、または企画交流なんかを志していれば、まあ一理ありますが、pixivに登録しようとしているあなたがいる2010年代は兎も角、現代(2021年)はもっぱらTwitter等、より直接的なSNSを介して交流が行われています。

そうでなくとも、お前交流する相手いないだろ。

 

あなたはこれから数年間の時を経て、他人の発狂(ここでは二次創作と読み替えましょう)が他人に多く評価される中、自分の発狂についてはどこまでも自分ひとりが居ることに何か勘違いを起こし、同人誌さえ発行すれば、自分もある種の「オタク」(自分の発狂を介して他者と交流ができる何かしら 趣味人とでも言いましょうか)になれるのではないかという挑戦とともに同人誌を作成し、イベントに参加することで見事な腫物になります。小学校で仲良しの友達休んじゃった子って感じだったよね。

それはまあいいとして、結果的にあなたは、同人誌という物体を発生させることになります。またBOOTHというpixivと同じ母体が経営するサービスを利用し、同人誌の頒布に手を染めるようになります。

 

ところで、あなたには妹がいますね? あなたの妹はどういう経緯か知りませんが、あなたと同じような方向性を持った成長をします。彼女は「家人から英才教育を受けた」といった形で自己紹介をしていますが、私たちにはよくわからない話だと思います。

まあ、同じ屋根の下で生活をしていると影響も受けるということでしょう。私からするとなんか突然親が産んだ個体ですが、あっちからすると生まれた瞬間からなんかいる個体なので、影響もひとしおということかもしれません。

その妹、あなたが留守のタイミングで何か物を借りようと私物を漁り、見事私が発行した同人誌を掘り当てます。

掘り当てられた程度では別段気付きもしないのですが、彼女は同人誌の奥付から私のpixivアカウントを見つけ出し、時々私の二次創作を公開アカウントでツイートしてくれるようになりました。好んでくれたみたいですね、よくわかりませんが。

 

私は以前仲良くしてくれていたフォロワーの助言で、pixivのアカウントにツイッターのアカウントを書き加えていましたよね。(pixivアカウント名)@(twitterID)という形で。

こうすると、pixivからリンクを張ってくれた人の空リプも見えるからよいですよと彼女は教えてくれました。時々私も活用させて頂いたんですけれども、そこで妹のアカウントを見つけてしまいました。

見つけた時点では、私はそれが妹だとは気づかなかったのですが、関連するツイートをした後に妹の方が、「姉の二次創作見つけちゃった……」とツイートしていたので、すぐにそれと気付くことが出来ました。

「下手に良く出来てるから、なんかガチっぽくてワロエない……」とのことでしたね。せめて笑ってくれません? バレてるぞという旨のマシュマロを送り、無事相互ブロックの状態を勝ち得ました。どちらも陰湿な手を使う辺り、流石に姉妹と言うべきなのでしょうか。

 

そこで表題です。私、そしてお前。投稿用のアカウントと閲覧用のアカウントは分けて作れ。

万一身内に見られてるな……と察しがついた時も、投稿用アカウントだけ消して、ブックマークは守られる状態にしておく。これで心の平安が保たれます。

かくいう私、そしてpixivに初めて登録した時のあなた。あなたは一度他人からなりすまし宣言をされてアカウントを消したとき、当時は同人誌を頒布していなかったので話は簡単でした。

今これをどうにかしようとすると、まず最初にBOOTHをどうするべきかと考え、BOOTHで購入済のダウンロード素材や作品たちと、妹の存在を天秤にかけ、なんだか面倒になって、とりあえず妹をブロックしてうやむやにしてしまいました。

ちなみに、BOOTHに連携するアカウントを変えればこれまで購入したダウンロード素材等は問題なく移行できるそうです。

 

booth.pixiv.help

 

pixivに登録しようとしているあなた。あなたのTwitterで他人のツイートにつけるものは☆で、それはふぁぼと呼ばれていたと思いますが、今のTwitterで他人のツイートにつけるものは♡で、それはいいねと呼ばれており、それは別の話として、2020年の秋ごろのTwitterには、Fleet機能が実装されました。

これはInstagramのストーリー機能と同じもので、24時間以内に自動で消える投稿で、閲覧した人のアカウントをこちらは確認することができます。

 

先日、そのフリートを妹のアカウントが表示した履歴がついていました。何でも、7月のウェブイベントの部数アンケートとかしてた宣伝のフリートを、妹のアカウントが表示したらしくって、

いや、別に見ればいいじゃん 何なら一部欲しい? みたいな心の構えでいれば良いのかと今はちょっと思うんですけど、あいつあんなん書いてるのか……笑えないわ……という消費のされ方を、生活圏に居る人間にされるのは正直嫌だなというのがあり、わたしはpixivのアカウントを移行しようと思い立ったものの、これが面倒臭い。

というか、あいつ、どこまで見ている? pixivやtwitterからはてなブログや二次創作サイトのリンクを知られていれば、正直もうおしまいに近いところがある。私の方で対策できることは何もない。

 

こういう事態、インターネットで公開している以上、容易に起こりうることでもあり、私一人が被害者面をして、白ハゲを演じられる立場にはないような気がする。

直接同人誌の内容を読み上げて嘲笑いに来られたわけでもない。相互ブロック前、彼女は「(任意のジャンル)の(任意のカップリング)ではこれが一番好きだな」ともコメントもしていた。私は、笑えないんだろ、というぐらいの気持ちで、それを眺めていましたが。

 

しかし、それにしても、私じゃない他人がインターネットで公開しているものは、リプライなり何なり、目に見える形でしきりに賞賛を得ているのを、よく目の当たりにするんですけど、私がインターネットで公開すると、身内に見られて腫物になるらしいです。

これについては、私の認知が歪んでいるところもあると思います。これまでに一度たりともコメントを頂いたことがない、というわけではない。時々有難いことに読んで頂けているみたいですし、神絵師に表紙絵を描かせている時点で並み一通りの承認とか、それどころの問題ではない。

私じゃない他人の内のどれほどが、一切内容を共有していない他カプの同人誌の内容を、千里眼によって完璧に「理解」頂いた上で描いて頂いたカラー美表紙絵を、ご厚意から作成頂くような恐悦イベントを発生させられますか? ただでさえ読みづらい悪文長文を読んで承認をしてくれたフォロワー 私の認知していないところで二次小説を読んでくれたらしい閲覧者たち ありがとうございました。

 

しかしそれにしたって、芝生の青々とした他人と自分の心に広がる枯山水っていうか禿山、このギャップにがっかりしてメソメソして、二次創作を止めれたら万々歳なんですけど、脳はまったくピンピンしている。

7月のエアブー参加券を既に購入してしまったんですけど、twitterもpixivも経由せずに、boothだけでやればいいじゃん♬ みたいなこと言ってる。

だってさ、最初からお前が読みたくて作るんだもん。私が書いて他人に見せたって他人がハマって何か書き出してくれるわけじゃないっていうのは、もう十分わかったんだからさ。別にいいじゃん。

SNSで宣伝したってしなくたって 捌ける部数は、若干違うだろうし、何なら全然捌けないだろうけど、私の手元に一部残れば、それでもう後はいいでしょう。

余った頒布物を机の片隅に積んでさ、イベントスペースごっこをして遊びましょう。

pixivに初めて登録しようとする私へ、サークルナンバー【自宅-机の隅】で待ってます。握手!

 


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おうち時間で原稿をしていた


同人誌を作ってしまう。どうやら私の脳は、イベントを楽しめない構造をしているが、冊子形態の何がしかを作るのは好きらしい。

そういうわけでまた性懲りもなく同人誌を作りまして、これがものすごく苦しかった。

400ページ超、17万字、ここまでは別にいい。ほぼ再録みたいなもんだし、字数はそこまで負担なく増えてしまうし。実質「新規の書き下ろしを書く作業」は11月に始めて12月には終わっていたように見える。

これに続く17万字の校正、カバーと表紙、および帯の作成、これがキツかった。誰だ文庫本っぽい本にしたいとか言った奴。お前のせいで3ヶ月かかった。あと文庫本、かさむページ数にオプションのフルカラーカバーと帯で、純粋に出費が痛い。ちょっとした家賃。印刷所から電話連絡頂いてしまう度、家賃が終わった……と思って、ちょっとしたお通夜。しかも作成時点で帯ずれてたし、誤字もやってる。葬儀。

 

これも最近自覚したんですが、ツイッターにほぼ常駐してしまう癖があるので、原稿中も脱稿後もツイッターに張り付いてしまうし、それで他者による他者の人柄とか創作とかSS名刺に対する賞賛とか交流とか目いっぱい見て、即我が身を振り返ってしまう。

ある種の人間がやると、偉業めいて称賛される事柄らしいです、原稿。それは当人の人柄に左右されるのでは? それはそう。私は幸いにも友人に恵まれているので、苦しんでいると宥めてくれるんですが、私の二次創作なので、これが彼女らにとっての利益にはなりえないことを誰よりも私が知っていることもあり、有難く恐縮してしまう。

しかも私自身、別に他人に褒められたり認められたくてやってるわけではなく、私のためにやっている。ただ「私のため」と言い切るには負荷がデカく、いかなる時でも他人は楽しそうに見えるということだ。

 

そんな中で、今日も今日とてツイッターに張り付いているところ、「カップリング界隈」を形成するタイプのアカウントが将来の孤独について考えていて、趣味によって人脈を作ることも出来てない我が身を振り返ったりもした。

フルタイム勤務の影響か、連休にしたのに毎日四時とか七時とかに一回目が覚める。同居人もいないので、部屋の外に出る用事が無ければ入浴もしない。まだ炊事はする。掃除も時々する。まだこの部屋で見たことのないゴキブリの存在に怯えている。連休中に衣替えでもするかと思っているが、横たわっているだけで時間が過ぎてしまう。

 

とはいえ私はよくやった。他人からしたら知ったこっちゃない話ですが、同人誌に手を染めてしまった当初、ダウンロードしたフリーのA5同人誌表紙素材を、ワードで加工する形で泣きながら表紙を作っていた頃から比較すると、圧倒的。

といってもその頃、というのは同人誌を作り始めた当初の頃に私は、何かのフリーソフトで文字をクリッピングする謎技術を持ってたんですけど、それは忘れた。

たぶん文庫本カバーの作り方についてもこのあと忘れていくだけなので、この先万一文庫本を作りたくなってしまったときのために記録する。これなら寝ながらでもできる.。


小説本本文のpdf化の方法については、以下の記事に書いたところからあまり変化がない。

強いて言えば、縦書きと横書きを併用する場合は、テキストボックスを使わないとなんか、各ページごとの余白設定が乱れるぞ テキストボックスを使え、ぐらい。

 

ra927rita1.hatenablog.jp

 

令和に突入したフジョシ(自称)は、なんと文庫本サイズの表紙からカバー、帯まで作成可能です。

 

以下にフルカラーの表紙の作り方を列挙していく。目次は以下の通りである。

 

 


①ファイアアルパカをインストールする。

フリーソフトだ。同じようなフリーソフトで言うとGIMPとかでも良いんだと思う。

私の使っているPCのスペックではGIMPは動かなかったので、私はファイアアルパカを使っている。

 

②(もしあれば)印刷所のテンプレートをダウンロードする。

www2.popls.co.jp

 

例は上にあげたリンクだが、印刷所ごとにテンプレートが用意されているので、自分が使う予定の印刷所サイトで配布されている「表紙テンプレート」とか、「カバーテンプレート」とかをダウンロードする。

なければあるところから適当に見繕ってもよいが、別になくても作れる。

 

③自分が作る小説同人誌のサイズ・背幅諸々を確定する。

決めていなければ、いよいよ表紙を作り始めるまでに確定させる必要がある。

 

www2.popls.co.jp

 

印刷所によっては小説同人誌のサイズ・ページ数・使用予定の紙を打ち込むといい感じのサイズを出してくれるところもあるので、適宜活用する。

 

④↑で確認したサイズをもとに、「キャンバスサイズ」を変更する。

※②で印刷所のテンプレートをダウンロードしていない場合は、ここでキャンバスを新規作成する。

ファイアアルパカで既存のPSDファイルのサイズを変更する場合は、「編集」>「キャンバスサイズの変更」でキャンバスサイズを変更した後、「表示」>「カラーマネジメント設定」でRBGプロファイルを「sRBG IEC61966-2.1」に、CMKYプロファイルを「Japan Color 2001 Coated」に変更し、□有効にする □CMKYソフトプルーフの双方にチェックを入れる。

※これをしないと入稿する時にCMKYに変換して色味が大幅に変化し、再作成を余儀なくされる。

 

キャンバスを新規作成する場合は、ファイル>新規作成からpixel数を指定する。解像度は350dpiのままでよい。印刷所で指定がある場合はそっちに従った方が良い。

キャンバスを新規作成する際にカラーマネジメント設定を設定することができると思うので、そこでRBGプロファイルを「sRBG IEC61966-2.1」に、CMKYプロファイルを「Japan Color 2001 Coated」に設定しておく。じゃないと後で泣きを見ます。私は見た。

 

⓹もし必要であれば……自分用に補助レイヤーを作成する。

④の状態だとどこまでが背幅でどこまでが表表紙かわからない。まっさらな原稿があるだけなので、適宜ファイアアルパカでファイル>新規作成から表表紙サイズとか、背幅サイズのキャンバスを作り、④で作ったファイルの上にコピペして補助レイヤーにする。(背幅がそんなにない・表紙カバーを作るわけではない場合はあんまり考えなくてもいいかも)

④で作ったファイルにコピペしたレイヤーを任意の位置に動かしたい時は、動かしたい図形が載ってるレイヤーを選択した状態で、「選択範囲」>「変形」をクリックし、動かした後に右下に出て来る確定ボタンをクリックする。

 

※ファイアアルパカでのファイルの作成がわからないからといって、ペイントでこれを作成してはいけない。解像度の数によってpixelの大きさは変わるので、入稿してから「サイズが全体的に違う」というご指摘ともお叱りともつかないお言葉を印刷所から頂く。私は頂いた。

 キャンバス作成時から背景色を変更しておくと、④で作ったファイルにコピペした時に「色が下レイヤーと同じで訳がわからない……」ということにはならないんじゃないかと思う、たぶん。

 

⑥表紙デザインを作る。

ファイアアルパカがWordと比較して優れている点はレイヤー分けが出来たり、レイヤーごとで重ね方を工夫することで様々な表現の幅が広がる点であるが、そもそもイラスト編集用のソフトをWordと比較する方が間違っているというのもある。表紙を作るにあたって無料の写真素材サイトから引っ張って来るのもいいし、私はBOOTHで表紙素材を買った。

素材サイトから引っ張って来た素材は、縮小する分には問題ないが拡大すると解像度が荒くなってなんだかみじめになるので拡大はしない方がいい。

また、これは印刷所によって異なるかもしれないが、表紙ファイルの外側3mmは印刷が切れてしまうので、大事な文字とかはちょっと内側に入れておくと良い。

というか、3mmってどういうことやねん これまでキャンバスサイズ全部ピクセルで指定してただろ。350dpiの場合の3mmが何pixelになるのか教えてくれやって思うと思うんですけど、2021年4月時点ではそういうことはなかった。これは「なんとなくあんまりキワキワに文字とかはおかない」を意識しておけばなんとかなる。私の肌感覚なのであんまりあてにはならないけれど。

 

⑦レイヤーを統合してPSDにする。

フルカラーの表紙を作る時は、何も考えずにレイヤーを統合して良い。レイヤーを統合する時は「レイヤー」>「すべてのレイヤーを統合する」を選ぶ。その後、「ファイル」>「書き出し(CMKY方式PSDファイル)」を選択すれば、これを印刷所に送れば表紙にしてくれる状態になる。

一色刷りの表紙を作りたい時は、レイヤー統合時にカラー情報を抜き取る必要がある。「ファイル」>「ラスタライズ」を選択し、ラスタライズ時に「8bit」を選択すれば私のケースはどうにかなったが、多分印刷所によって色々指定があるので、適宜確認した方が良い。ラスタライズ後、PSDにして書き出す。

 

上の通り記載した表紙作業の全体を通して言えることとしては、深夜に作業をするなということです。

深夜 特に午前二時以降に作業をした箇所は100誤字をします(私の場合)、成人向けと書くべきところに成人済みと書いてそのまま基礎料金数百円×冊数分のしめて5000円の帯が恥を印刷したまま手元にやってきたりします。あと、これは何とか気付いて差し替えられたんですけど、背表紙でタイトルを間違えたりする。

折角金を掛けるのでその辺はちゃんと確認できた方がいいです いるかいないんだかわからない「手に取ってくれるかもしれない誰かの為」ではなく、懐を痛めて家賃レベルの出費をして恥を目の当たりにするかもしれない自分のために 頼む 私の悲しみを味わってほしくない 苦しい 5000円の帯………………


そうやってなんかやたらと財布から出血しながら同人誌を作ったとはいえ、楽しいことがあるかどうかはその人によります。交流とかしたいなら同人誌作る前から交流をするべきなのではないか? 

フジョシ(二次創作をしてしまうタイプのオタクを便宜上フジョシと呼称)がどのように交流を深めているのかさっぱりわからないし、わからない内に嫌われていることが多い。

ツイッターに張り付いてしまう性分なので、私は今日も張り付きながら他人が他人を賞賛しているのを見るんですけど、この間は中国語で「あいつの観点は評価できるけどあいつの人柄は信用に値しない」と書かれているのを見た。

私は中国語を喋ることはできないが、ある程度読むことはできる。第二外国語で泣きながら履修した為だ。院から排出された後めっきり中国語を読む機会はなくなったのだが、最近は他人のツイッターを観測して先方のお気持ちを読解している。

なお、この先方と個別で会話をした覚えはない。会話を交わさずとも言葉を越えて伝わる何かが不全なところがあるのだろうか? 会話を交わして嫌われるならわかるんですけど……その上観点が評価されているらしいという点がなんだかおもしろい。ある意味物書きと言われるようなものの冥利に尽きるのでは? 物書き冥利というか、二次であれ何であれ創作をしてしまっている者の冥利と言うべきでしょうか。少なくとも、自分の吐き出したものは、誰かしらの目に触れてはいるようだ。

Twitterなどに張り付いていると、そうやって言及でもされていない限り、自分が何を出力したのかが良く分からなくなってくる。というのも、排泄するがごとく何かを出していくばかりで、こちらから他者にアクションをすることがなく、当然の帰結として他人と会話をすることがないため、それゆえに、人と人とが交流することを前提に設計されるソーシャルネットワークにおいては、殆ど透明になることができるから、なのですが、気の持ちようか? 

特に何がなくとも、フォロワー!とか、虚空に呼び掛ければいいんですかね これで赤の他人、有り様に親しみやすさを覚えたりもしてくれるんでしょうか。だいぶ親しみやすいと思うけどな、何かを書いてしまっている時点で、脳の思考から性癖から弱点剥き出しだし。とはいえ中国語によると、特に何もせずとも何だか傲慢に見えるらしいが? 有り様が言葉を越えて人を刺激するの、社会生活を営む歯車の有り様としては一種致命的なのではないか。でも、私はお前(私)のこと好きだよ 君はいつも必死に生きているから……

 

ディエンビエンフー (2) (IKKI COMICS)

ディエンビエンフー (2) (IKKI COMICS)

  • 作者:西島 大介
  • 発売日: 2007/08/30
  • メディア: コミック
 

 

 

 

今週のお題「おうち時間2021」

私のハムスターが死んだ

 

 

年末に体調悪くなってから三週間ぐらい介護してたハムスターが、モルカーみたいな顔を晒して死んだ話です。

 

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「モルカー 顔」と検索してtogetterから拾ってきたビックリ顔のシロモ

 

ハムスターが年末に体調悪くなった話はここですが

 

ここまでに私のハムスターは1回、このあとに2回通院して(診察代が約1500円)、一、二回目の通院で抗炎症剤(2200円ぐらい)、三回目の通院でハゲの原因検査(3000円ぐらい)、三回目の検査結果として処方された抗真菌剤が3000円ぐらいした。

どれもこれも0.5mlを0.05mlずつシリンジ(針無し注射針)で吸い取って与えろという指示が出ていて、私は二回ぐらい0.05mlを手元が狂って零して、その金額を思ったりした。

しかし、通院の成果はそれなりにあった。特に二回目の通院でどういうわけか耳から膿を出してからというもの、年末からぐったりしていたハムスターは案外元気に動いて、トイレで尿と糞便を排泄して(トイトレが完璧)、餌をもりもり食った。

ハムスターに与える餌はシロップ状になっていて、特に抗真菌剤は獣医さんが砕いてシロップに混ぜたようなものだった。

ハムスターは当初、シリンジに自ら近寄ってきて可愛くお薬をなめなめした。私は一年半前にハムスターの咳止め薬を処方された時、スポイトを見せた段階で脱兎のごとく逃げ出したことを思い返しながら、こいつも人間と生活をすることに慣れたんだなとしみじみ思った。

朝晩二回の投薬を開始してから三日ぐらいしたら、ハムスターは薬に飽きたようで、シリンジを口許に持っていっても口を開かない。何度か角度を変えて強いれば舐めてくれるので、それを見計らって薬を飲ませるのだが、ケージの中でハムスターが取る位置取りによっては確認しがたく、一度薬を巣材に飲ませたことがある。

二週間経つとハムスターも賢くなり、前脚でシリンジを弾くようになった。これも何度か角度を変えて強い、抵抗が無駄であることを示す。この辺りになると人間も手慣れてきて、ハムスターのω←この口の脇にうまく狙いを定めて口を濡らすことが出来るようになってきた。

 

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前脚で投薬を拒否するハムスターに似ている(画像は大川ぶくぶポプテピピック竹書房

 

最初の投薬から三週間ぐらい経ち、抗炎症剤は飲み切ってハゲを治すための抗真菌薬を投与しようとした一昨日、ハムスターが妙な寝方をしていた。

ついに死んだかなと思いよく見ると、息をしている。寝ぼけているのかと思って、ひまわりの種をやろうとした。抗真菌薬は脂質の多い食べ物と一緒に与え空腹時には与えないように指示されていたからだ。

ハムスターはもぞもぞ動いたが、口を開かなかった。末期かと思い水を飲ませようとしたところ、逃れるようにずるずると這いずり、年末に私がうっかり買ってしまった新品の回し車の根元に頭を凭れかけさせたと思うと、その場でもんどりうってぐるりと一回転すると、手足を目いっぱい広げながら横向きになって、目をかっぴらきながら口で息をしていた。

 

あ、これは持たないなと思い、私はインターネットで「ハムスター もんどりうつ 死ぬ」と検索した。

もんどりうって死んだハムスターに関するブログ記事を二件見た後、ハムスターの飼育に関するサイトで「発作をおこしたっぽいハムスターは、胸を擦ると蘇生することがある」と書いてあるのを見つけた。

間違っても、眠るような死に顔ではないハムスターの形相を見る。口を開けている。

 

私は何もしなかった。これで永らえても苦しかろうと思った。

嘘だ。その場でそこまで冷静だった訳ではない。後から、「ここで永らえても苦しかろう」と自分を正当化しているに過ぎない。

実際は、咄嗟に何も考えられずタイムアップを迎えたところだろう。

もっと悪く言えば、もだえ苦しんでいるハムスターが恐ろしかった。見知ったものが普段らしからぬ動きをしているのは恐怖の対象に成り得る。

 

飼育経験がいくらかあったとはいえ、死に目に立ち会ったのは初めてだった。小動物はいつも、気が付いたら死んでいた。私が下手に起こさなければ、あのハムスターだって、「気付いたら死んでいた」のかもしれない。わからない。

とにかく苦し気に口を動かしていたハムスターは、やがて動かなくなった。その内何事もなかったかのように動かないかと漠然と思いながら、私は夕飯を食べた。普通に食べた。食べ終わって眺めるが、ハムスターは動かなかった。

 

ハムスターが死んだ。と思ってから、またインターネットで「ハムスター 死んだら」と検索した。大体のことはインターネットで検索すればなんとかなるというのが習慣として染みついている感があるし、死骸の扱い方について様々なサイトがお悔やみを申し上げながら教えてくれた。

 

遺体を清め→安置し→死骸の行先を決める

 

以上が大体の流れである。

 

ハムスターが死んでいるのを見つけてからの私の行動は以下の通りだった。

 

ハムスターが死んでいるのを見つける→ハムスターが死んでいるのを見つける→Wikipediaで「エンドルフィン」について調べ始める→ハムスターが死んでいるのを見つける→Googleで「ハムスター 死んだら」と検索する

 

何でエンドルフィンについて調べているの? 脳内麻薬について知りたかった。

死の直前に脳内麻薬が出るので、その瞬間というのは超気持ちい(し、疑似的に死に近い行為のためセックスは気持ちがいい)というのは、特に創作に手を出すタイプのオタクの皆さんならご存じの概念だと思うのですが、私のハムスターはもんどりうった後に目を引ん剥いて、数度口を開けて呼吸をしていると思ったら動かなくなった。

傍目には、息が満足にできずに苦しがっているのだろうか、という具合だった。とても気持ちよさそうには見えない。

ネズミの脳は小さいから、麻薬をつくる程の機能も無かったということだろうかと思った。しかし、Wikipediaで当該ページを見たところ、ヒヨコを対象にした実験があったという一文を見つけた。多言語版は専門用語が多く、その場での理解には限界があった。

脳の大小にかかわらず、脳内麻薬は効果がある。私のハムスターは酷く苦し気にしていたが、あれがガンギマリフェイスだったということか。腹を殴打される悶絶とセックスの悶絶って似てるらしいし……しかしハムスターには表情筋がない。フェイスから得られる情報はカワイイということぐらいだ。

 

ハムスターの死に顔は、なんだか驚いているようで間抜けだったとも言えるし、恐慌状態の死相のようにも見えた。およそ、虹の橋を渡ってハムちゃんランドに行くような生易しい死に顔ではない。どっちかというと祟る方面。仏寺の地獄絵とかに描いてある方。

 

私のハムスターは顔が良いので、家人に紹介する時に私は橋〇環〇と紹介し続け、家人はその内ハムスターのことを「〇本環〇」と呼ぶようになった。「あんたの部屋の〇本〇奈ちゃん元気」という感じ。私が部屋に芸能人を監禁しているように聞こえる。

 

私が飯を食ったりハムスターが死んでいるのを見たり、Wikipediaでエンドルフィンについて調べている間に、ハムスターの死後硬直は始まっていた。

生きている内は可愛い可愛いとつついて指を噛まれたものだったが、ビックリ仰天死に顔ハムスターを前に、私は、死骸だなと思った。

これは私のハムスターだった。が、今は死骸なので、私のハムスターではない。生活空間に突如現れた死骸への感情というのは恐怖でもあり嫌悪でもある。

頭では「私のハムスターが死んだ」という認識があるのだが、感覚(これも頭であるにも関わらず)がそれについていかない。

最終的に、ティッシュで包んでハムスターの死骸を掬い上げた。虫の死骸をつまみ上げる時とほぼ同じ対処で、少なくとも私は、ティッシュ一枚で死との直接接触を避けられると認識しているらしい。

ハムスターは強張っていた。なのでハムスターの死に目に立ち会った場合、一刻も早く手を入れて目を閉じてやるなり、口を閉じてやるなり、手足をこう、丸めておくなりして、死体らしい格好をつくってやるのが良かったんじゃないかと思う。

エンドルフィンについて造詣を深めている場合ではないし、末期だとわかっているのならばもしかしたら生き返っているかもと思って「そっとしておく」(「放置」の聞こえ良い言い換えだ)のは悪手だっただろう。

 

ティッシュで包んだハムスターを見る。

私のハムスターは年明けから、どういうわけかティッシュに包まって寝るようになった。ハゲが真菌と判明し医者からこまめな床材の交換を命じられた私は、その時丁度ティッシュを床材に入れていなかった。ハムスターは新聞紙を掻き分けどこか満足げにそこに収まっていたので、それでよかったのだろうと思う。ティッシュを掻きながらそこに収まるハムスターは、なんだか死骸めいていて嫌だった。

 

 

風が吹くとき

風が吹くとき

 

私はティッシュに包まって寝る私のハムスターを見ると、『風が吹くとき』の老夫婦の末路を思い出すので嫌だった。


けれども、ティッシュを巣材にしていた頃のハムスターはなんだかんだ息をしていたのだ。

ティッシュには包まっていないが、回し車の下に転がりビックリ死に顔のハムスターは、どう見ても死んでいる。科博の地下にあるはく製めいた不自然さだった。ビックリ顔を何度かチェックするが、蘇生の気配はなかった。

 

ハムスターを木箱に入れた。私のハムスターに遊具として与えていたものだった。ハムスターが走り回らなくなってからは、トイレの芯をストックする箱になっていた。

ハムスターを木箱に入れてから「安置」の項目を見ると、保冷剤を入れてやって腐敗を防ぐ必要があるらしい。

私は複数人と同居をしていて、冷蔵庫は共用である。冷蔵庫まで行くのが嫌だった。ハムスターが死んだことを家人に言うことが億劫だったからだ。

 

ハムスターはネズミである。Wikipediaによると「キヌゲネズミ亜科に属する齧歯類の24種の総称」がハムスターである。

ハムスターの寿命は二年から三年で、私の飼っていた「ジャンガリアンハムスター 寿命」とGoogleで検索すると、一番上に「12か月(野生)」と表示される。

 

親元から譲り受けて来た当初から「今に死ぬ」と言い続けていた。ハムスターのケースを覗くときは、毎回今にコロリと死んでいるんじゃないかと言いながら覗いていた。それが生きているとほっとする。

私のハムスターがあんなに可愛いのは、私が毎回「死んでいるんじゃないか」という懸念を繰り返していたことによる、吊り橋効果めいたものが遠因にあったんじゃないかとも思えてくる。

 

私は、ハムスターはすぐに死ぬと言い続けていた。それが死んだ。それだけだ。

 

ハムスターは芸を覚える訳でもない。私のハムスターが覚えたのはトイレだけだ。芸というよりは本能によるものだろう。

私のハムスターは手乗りだったが、得てしてInstagramに生息するハムスターのように、手の上で腹をみせてブロッコリーを齧るわけではない。

そもそも人間を人間として認識してはいないだろう。右手で餌をやりながら左手でちょっとトイレを掃除しようとすると、左手にビビって威嚇するハムスターだった。

 

可愛い以外に特徴も何もない、私のハムスターが死んだ。初めから死ぬものだと知っていたし、可愛いというところしかないので、思い入れも「可愛い」というところしかない。記憶だって、「可愛い」というところしかない。

それだけのことというのが恐ろしく悲しいが、私のハムスターはネズミだ。死んだのは私のネズミだ。ネズミっていうとネズミとりで引っかかるアレですし、飼っているハムスターの話をすると生きている内から「すぐに死ぬ奴ね……」という反応をされる。

それが通常だと、私も理解をしている。私のハムスターが死んで私はこんなに参っている。この上で、その感覚を通常とする他人に、これを説明する気力がない。私だってどうしてこんなに恐ろしく悲しいのかわからないのに、他人の心地まで慮って、どう人間とコミュニケーションするか等考える余裕がない。普段からそんなに他人の気持ちを慮っている訳でもないんだが……とにかく億劫だった。

 

私は保冷剤を取りに行くのを止め、ハムスターを殺さないために着けっぱなしにしていたエアコンを切った。冬なので、腐りはしないだろうと思った。

 

次に考えるべきは、ハムスターの死骸をどうするかである。

インターネットで調べると、「ペット葬儀に頼む」「その辺に埋める」「プランターに埋める」というのが出て来る。

解剖検査を依頼するという選択肢もあったが、流石に価格が厳しかった。

 

ハムスターについては「その辺に埋める」が一番ポピュラーなようだが、庭もなくその辺に埋める土もない私に選べる選択肢ではない。

プランターに埋める」というのは個人的にナシだった。「地獄少女」で出てきた「木の根に囚われる両親」を思い出すからだ。

 


「地獄少女」8年ぶりの新作 アニメ「地獄少女 宵伽」PV

地獄少女」アニメ一期第二十六話「かりぬい」で木の根に囚われる両親の魂が出て来た……ような覚えがある。

 

ペット葬儀に頼むことにした。一万円以上かかるが、この際仕方がない。さもなくばゴミと同様に処理してもらうしかない。それは流石に抵抗があった。

ネット上で見積もりを頼むと、十分後に電話が掛かって来た。明日に火葬車を寄越すという。一応、ハムスターが病院に掛かり始めてから、ハムスターが死んだら葬儀屋に頼むことに決めてはいた。

 

葬儀屋にはいくつかプランがあり、大別すると「死骸をそのまま引き取って合葬する(骨を返さない)」か、「個別で火葬し骨を返す」かどうかに分けられる。

骨を返さないプランの方が安い。「どちらになさいますか」と言う、私より悲し気なオペレーターの声にちょっと迷ってから、骨を返さないプランを選ぶことにした。

 

私のハムスターの名前は「けだま」という名前だった。けだまちゃんである。名づけに心底迷い修士号という名前を付けかけたが、そんな業の深い名前を背負わせるなと止められた。

何も思い出さない名前にしようと思い直し考えていたが、何も浮かばなかったところ、友人が「けだまちゃんにすると良い」と言ったので、そのまま借用してけだまちゃんと名付けた。

毛玉である。絹のような毛がみっしり生えて概ね名が体を表していたが、季節の変わり目にはハゲたし、年明けに耳垂れが出て来てからはなんだかゴッソリ禿げたので、「はげだま」と呼んでいたしよくその話をネタにした。

ただでさえハゲで呼称が変わってしまうハムスターだったのに、骨になったハムスターをどう呼べばいいのか。骨か、骨ちゃんと呼ぶのか。ただでさえ死骸を死骸としてしか認識していないのだから、私の手元に骨があったとて仕方がない。

金を出して骨を返して貰っても、まともに相手もできないのなら、そのまま「お骨」として、適切に扱ってもらった方が良いだろう。


遺骸の行く先を決めてから、人と対面するのが億劫だったので歯も磨かずに寝ることにした。

寝る前に無性に何か読みたくなったのでツイッターで漫画を読み、無料期間らしいネウロを読み、以前無料期間だった時に読み切ってから全巻セットで購入したネウロの単行本を6巻まで読み、布団に入り、明日も平日なので仕方がないから目を瞑って寝ようとすると、ハムスターが生きているような気がする。

というのも、私のハムスターはびっくり面で死んだわけだが、あそこから回復したのか木の箱を爪で引っ掻くような音がする。

それなら早く暖房をつけて、寒さで殺さないようにしないとと思って、私は起き上って箱を開けると、ハムスターは強張って死んでいる。私は布団に戻る。ハムスターが咳をするような音がする。ハムスターの咳かどうか本当のところはわからないが、私はその音を聞く度にハムスターが咳をしているのではないかと疑っていた時の音だ。

ハムスターが死んでいるのを見ても、ハムスターが咳をするような音はし続けていた。しばらくそれを聞き続けて、どうやら共用部で人間が足音を殺して出入りするとああいう音になるらしい、ということを、ようやく察した。

私のハムスターが死んだのに、人間はどいつもこいつも元気そうだった。

 


学生を辞めて、今はブルシット・ジョブをしている。雇用契約を結んでいると、特別連絡しない限り、平日は概ね出勤になる。
これが通常出勤であれば、「人前に出る顔をつくる程の余力はない」という判断から休むなり何なりしたが、幸いにもパソコンさえつければ業務遂行可能な職種だった。

化粧をする余力はないが、パソコンの前に座ることぐらいはできるし、わざわざ連絡するより、私のハムスターが死んだことを知らないどころか、私がハムスターを飼っていることも知らない人間と定型文のやり取りをする方が楽かと思った。

 

 

 

 

結果から言うと、そういうわけでもなかった。Wikipediaによるとイギリスではペット保険に加入している人間は、Animal lossを理由に一週間丸々オフにすると回答するのもいるらしい*1

定型文の業務遂行は、確かに可能だ。だが、飛んでくるチャットに殺気立っている。今それどころじゃない。

しかし、私のハムスターが死んだので休ませてくれと言うのも億劫だった。「普段していること」は、行動コストが低いので遂行できる。それ以外のことを受け付けない。

休暇を取得しようと思えばできるのだろうが、その方が億劫だった。この状態で不測の事態が発生するとおそらく面倒なことになるので、リスクとしては休みを取ってしまった方が良いのだろうが……。

 

業務に従事している内に、部屋が恐ろしく寒くなってきたので、これではハムスターが死んでしまうと思って暖房をつけた。


ハムスターの死に目を見ているのに、今にどこからかハムスターが帰ってくると信じている。何故かわからないが、脳がそう信じているのだから仕方がない。

ペットロスについて造詣を深めるためWikipediaのペットロスの記事を見ていると、2021年1月28日時点に記載されている「代表的な症状」としてあげられている項目に、この上なく当てはまっていて、かえって感心した。

 

ja.wikipedia.org

 

以下に、代表的な精神疾患、精神症状・身体症状の例を示す。

 

 

結局、ハムスターを飼育してみたが、愛玩動物飼育の是非は何もわからなかったし、当初から想定していた喪失状態に存分に陥っている。

野生に放ってあるのを連れて来たのではなく、最初から飼い殺しにするために生かしていたのだ。

発作を起こしたハムスターは胸を擦ると蘇生することがあるらしい。無論、しないこともあるだろうが、飼い殺しにするために飼育して、私のエゴのために生かし可愛がっていた。

蘇生するのかもしれないなら、胸がハゲるまで擦ってやればよかった。中途半端に可哀想だと思うべきではなかった。無理にでも生かしていれば良かった。

 

火葬車が来た時にはみぞれが降っていて、陰気な顔をした中年の方が死骸の入った箱を引き取っていった。

クレジットカードで支払うと手数料で3%ぐらい取られるので、昼間に降ろしてきた現金で支払った。

すぐに支払いに移ろうとする私を制し、引き取り手の中年は私に用紙記入を依頼した。住所氏名電話番号を書く奴だ。

名前を書く場所が二か所あり、一か所は私の名前で、もう一か所がペットちゃんのお名前を書くところだった。

私はそこに、私のハムスターの名前を書いた。癖字がキツく読めなかったのか、中年がしばらく紙を注視して首を傾いでいた。けだまだと、癖字のひらがなの読み方を口頭で説明すると、何かよくわからないが急に涙が出てきた。

 

人の対応をするのが億劫だが、明日もこの調子で出勤して面倒になったら嫌だと思い、直接業務に関わりのある人間にまず連絡を入れたところ、定型文ながら悼む文章が返って来た。この人間に私のハムスターの名前を教えた覚えはないが、毛玉ちゃんを、ちゃんと見送ってやるようにと返信があった。

私のハムスターは死んだのだ。私は死に目に立ち会っている。アホ面というには真に迫り、苦悶というにはトボけた顔で死んだ。知っているのに、他人に供養をしてやれと言われ、驚いて涙が出てきた。

骨を返されたって何にもできないが、弔ってやれと言われたのだから、骨を手元に置くべきだっただろうか。それに、花でも上げてやればよかったのだろうか。だが死骸は死骸だ。あれは私のハムスターだったが、もう私のハムスターではない。花なんて供えたってどうしようもない。

以前一度、私のハムスターに、刺身についていた菊の花を嗅がせたことがある。近寄って来たハムスターは、ネズミの両手で掴んで花弁を齧った。食わせている内に私は段々、これは食わせてもいいものなのかと不安になって回収した。ハムスターもそんなに菊の花に関心がなかったようで、特に抵抗しなかった。

これがミルワームだと歯を立てて抵抗する。ハムスターに与える物は小さいので、本腰を入れて抵抗されると、結局奪い取られてしまうことが多い。

 

私には確固たる信念の持ち合わせがなく、魂の存在を信じることができていない。精神の脆弱性が高いということだ。死んだ後には何もない。この発想に耐えうる程の開き直りもできていない。

魂が存在し、どこかしらで安らかにあると、信じたいが、私は精神が脆弱なので、行きつくべきどこかしらの存在を信じることが出来ない。死んだ後には何もない。死ぬだけだ。無である。ビックリ顔ではく製のようになって死んだハムスターは、事実、死んだ瞬間に時間が止まっているように見える。

私が出来ることは、あの場で胸を擦ってやるぐらいだった。中途半端に可哀想だと思うべきではなかった。最初から自分のために、可愛いばかりの生き物を手元に置いて可愛がっているのだから、最後まで自分のために、多少無理があっても生かそうとするべきだった。

そうしないのなら、口を閉じて、目を閉じさせてやればよかった。なんだあのびっくりモルカー顔。そうでなければ祟る側の顔。祟るのならば帰ってくるのだろうか。毛や骨どころか形のないものを、私は何と呼べばいい。仮に戻っているとしても、私の側に驚く程霊感がないので、何もわからない。

何もわからないので、インターネットの言うことを聞いて、ハムスターの画像を見返していたところ、可愛くて元気が出た。

物を食べるとハムスターに与えられるものを探してしまうので悲しいのだが、食べなければ別に問題はない。だがハムスターが野菜なりを食べてる画像をみると、やっぱり可愛いので安心して腹が減ってきた。

スマホのカメラロールを遡ってハムスターの画像を見ていると、旅行の写真が混ざって出て来る。旅先でアイマスクとマスクを着用した馬鹿ののっぺらぼうの写真も出てきたので、当時の同行者に画像を送ったら会話イベが発生した。ハムスターを見送った人生で誇れるもの、深夜の画像送信に対応してくれるお前ぐらいだな……という気持ちになる。

 

涙は不随意に出る涎のようなものなのでどうしようもないのですが、産声を上げるような体力はもう残されていないので、一日目はまだしも、二日目辺りから苦しくなってくる。

一日目のメモ書きには「こめかみがいたい」と書かれているぐらいだが、これが二日目になると「目に涙が染みる 息苦しい 気持ち悪い」になる。

涙による不快指数がこれまでにない上がり方をし始めたので、対策をインターネットで調べたところ、涙が目に染みるのは涙が蒸発するスピードに追い付かずドライアイになっているから、気持ち悪さの要因はわからないが、とりあえず水飲んで目元をアイマスクであっためて寝ろと書いてあった。

手元にあったほっとアイマスクは「目元に腫れのある時は使用するな」と書いてあったが、何か異常があったら外そうと思いながら付けたら、そのまま爆睡した。2020年の1月にほしいものリストからこれを贈ってくれた人間、ありがとうございました。

 

寝落ちして起きると情緒が落ち着き、人と対面するのが「億劫」というところから、「あいつらが私を嘲笑っている気がする」という考えに解像度が上がる。そうです。私はネズミに死なれて立ち行かなくなっている人間ですが何か…… SNSで暴れる分にはまだしも、対人で取り繕う程の気力がない。というか、SNSで暴れるんじゃない。

酷く気だるい気がするが、書いたものを見返していてこれ腹が減ってるんじゃないのかと思う。物を食べようとするとネズミに与えていたものを思いだすので悲しいし、SNSで暴れていると、オタク界隈諸々で孤立極まったとて私にはネズミがいるしなという気持ちで可愛がっていたのを思い出して悲しい。ハムスターに依存をするな。ハムスターは生きていただけなので、これは私のメンタルの有り様の問題です。

 

私の、可愛いばっかりが取り柄の顔がいいハムスター、トイトレ完璧で一昨日も美しい排尿跡地を見せつけてくれたハムスター、びっくり顔なんだか祟り顔なんだかで死んでいった、私の可愛いハムスター、戻ってこないかなぁ。

 

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*1:"According to Petplan, 35% of people admitted to taking time off work to either settle new pets into the home or care for sick pets, and half of those admitted taking a whole week off,", from Wikipedia, the free encyclopedia "Animal loss"(最終閲覧日2021年1月29日)

ねずみ年のおわり


年末からハムスターが、変なところを寝床に定めた。今となっては忘れかけているが、私のハムスターはいつも、私が寝所に良いだろうと見繕った香炉や空き箱を無視して、床材に潜って、そこを寝床に決めていた。しかし、年末からハムスターは、私がいつものように巣材にすればいいだろうと適当に置いたティッシュの上を寝床に定めた。最初は掃除をされたことに不服を唱えて、ふて寝しているのかと思ったが、それからハムスターは、ずっとティッシュの上で寝起きし、ときにティッシュを掘って絡まっている。

ジャンガリアンハムスターの寿命をGoogleで調べたら、Googleが出して来る一番上のサジェスト結果で、12ヶ月と出てきた。野生だとそれぐらいなのか? ウェブサイトをいくつかみると、だいたい2年から3年と出る。このハムスターをもらった当初は明日にも死ぬだろうと思っていた。次の2月まで生きていれば、このハムスターは生後2年を迎えることになる。

これまで何匹か、ハムスターを飼い殺しにしていた。飼っていたのは、まだ私が児童に分類される時期で、小動物による飼育は拷問と同義語である。
ハムスターは急に死ぬものだった。小動物はそういうものだろうと思っていたし、同居の家族も同じような認識だった。
ハムスターは気づけば死んでいるもので、今のハムスターも今にきっと死ぬだろうと思いながら、ケースで飼育されるハムスターを覗いていた。

年末から変なところで寝るようになったハムスターは、一箇所に留まってじっとしている時間が長くなった。
年末から年明けにかけての私は、(ハムスターと同居する部屋は暖房を付けっぱなしにしているが、)それが寒さのせいかと思い、ホームセンターの初売りで少なくなっていた餌と一緒に、ペット用ヒーター、そして回し車を買った。これまで使わせていたものの車軸が曲がっているのか、いつだったか、回しづらそうにしていたのを、たまたま売り場で思い出したし、初売りで4000円購入するとくじが引けたからだ。
ヒーターを導入した翌日、ハムスターが目やにを出しているのを見て私は、これは明日にも死ぬだろうと思い、明日生きていたら病院に連れて行こうと思った。

以前は文鳥を飼っていた。迷い鳥を保護して飼い主のついに見つからなかった(申し出がなかった)ものを、7年ぐらい保護し続けていた。手乗りの可愛い文鳥だった。嘴がズレていて、イカの甲羅を突かせてみても治らなかった。ずれた嘴で啄まれても、くすぐったいくらいだった。
その文鳥は、少なくともハムスターよりも賢く、名前を呼べば返事をするように囀り、鳥かごの出口に飛びついて、名前を呼ばなくても籠の外に出たがり、お前は何をしたいんだと籠の外に出せば、ずっと肩に止まって、満足げにウンコをした。
その文鳥は、気づいた時には死んでいた。胸から血を流していた。何故死んでいたのかわからない。目を離した時には、ケージの下に落ちていた。

唐突に弔った文鳥を忘れ難く、学部生から院生のときに、文鳥を一羽飼っていた。ペットショップで売れ残っていて、珍しい毛色ゆえに1万円だったところを、6千円まで値下がりしていた。
その文鳥も、少なくともハムスターよりは賢く、名前を呼べば、名前を呼ばれていることを心得るように目を瞑って知らん顔をした。籠の外に出せばいつも天井近くまでばたばたと飛び、本棚の上の、家人の一人が同居各位の意向を無視して設置している神棚近くに座ると、満足げにかどうかはわからないが、とにかくウンコをした。
ある夕方に、その文鳥は羽を膨らませて、じっとしていた。動物病院に電話をかけてみたが、タッチの差で診療時間外のアナウンスが流れた。
明日病院に連れて行こうと、道筋を調べ、その日の未明に死んだ。死に目に立ち会ったか定かではないが、寝ているときに鳴き声を聞いた気がして起き出したときには、ケージの済でうずくまっているそれは、まだ暖かかった。が、もう息をしていなかった。

年末から変なところで寝るようになったハムスターも、こうして未明に死ぬのだろうと思って、翌朝ケースを覗いてみると、昨晩のどこか苦しげな様子が嘘のように、とはいわないが、ケロッとした顔で煮干しを齧っていたので、病院に連れて行った。
「呼吸が荒い、肺炎を起こしているかもしれないが、何かあっても老衰ですよ。」と言う獣医は、診察もそこそこにハムスターをケースに戻し、私のケアを始めた。診察料1800円、抗生剤が2000円だった。

老いて動きの鈍くなったハムスターの飼育は楽しいもので、まず元気があまりないので管理がしやすい。動きがトロいので餌や水も変えやすいし、噛みつきもしなくなった。

若く元気なハムスターと比べて、人間との生活が長いからか、人間の挙動に怯えるほど人間に対して関心がない。
生後半年には、スポイトの先端を向けた時点で素早く逃げられた投薬も、口に押しつければ嫌そうに舐め始めるので、かんたんにできる。

さらに、人間を使うことを覚えているし、人間もなんとなくやりたがっていることを3割程度察することができる。
ハムスターの挙動を眺めながら、弱くなった足腰で運ぼうとしている人参のヘタの反対側を、指でつまんで持ってやり、運ぶのを手伝ってやったりすると、文鳥と暮らしていた頃のような意志の疎通モドキを思い出して、心があたたまる。 

人間が年老いて萎びていくのを見るとなんだかいたたまれなくなるが、ハムスターは老いて挙動がトロくなったとて、毛は(ところどころ薄くハゲながらも)柔らかく、そして概ね隙間なく生え揃っていて、目はくりくりと黒光りしている。老いてますます可愛い。ウンコをすると口で咥えて寝床の外にプッと捨てていても可愛い。
思い立ってハムスターに鼻を近づけると、与えたキャベツのニオイがして可愛い。キャベツのニオイがするハムスター、とんでもなく可愛い。しかも私があげたキャベツの芯のクズを手から食べる。可愛い。

老いてトロくなったハムスターは、どこかしんどそうに息をしたり、日がな一日じっとしているかと思うと、果敢に人参のヘタを齧り、急に外に出たがったりする。あとは、煮干しとミルワームをよく食べる。
といっても、食べる速度は遅く、前はミルワーム一本に10秒持たなかったところ、今は30秒ぐらい口をモゴモゴとやって、まだ2本目を残しながらやれやれと座り込む。前は、目の前にミルワームがある限り食べるのをやめなかった。

老いてトロくなったハムスターは、私の目の届くティッシュの上で寝起きして、休み休み餌を食べる。
私は、休み休み餌を食べるハムスターの背中のしまを、何気なく辿り、思いの外骨の目立つそれに驚く。痩せている。そういえば小さくなった。貰ってきた頃に使わせていた百均の陶器の香炉は、夏になる頃には窮屈に見えるようになったので、フリーマーケットで買った三百円の香炉を使わせていたが、今のハムスターの身体は、例の百均の香炉でも、ぴったりと収まりそうな具合に見えた。

老いたハムスターの、思いの外骨っぽい背中のしまを、指でなぞりながら、私は、ケースの中に一応入れはしたが一度も座っているところさえ見ていない新品の回し車を見る。
この毛皮の下が、ふくふくと肉と脂肪に覆われ、私の指を力いっぱい、血が出るまで噛んでから、掃除されたことに異議を唱えるように床材を掘り散らかして、家人から苦情が出るまでにサイレントホイールの回し車を回すことは、もう二度とないのだろう。
とはいえ、ハムスターの右耳に何か、耳垢か膿の固まったものかが詰まっているのが見えるので、以前病院から貰った抗生剤を与えきる週末まで生きているようなら、私は病院に連れて行く。

とかいって夜にお気持ちブログしてたら、翌朝からネズミ(ハムスター)が推定耳から異臭を放ち始めたので、もう明日病院に行く。今日は業務を良かれと思ってこねくりまわしてガンクレームが発生しましたが、知るか。死に際のハムスターのQOLがかかってるんやぞお前、膿臭の中で死ぬ愛玩動物、法律で取り締まられるやろ。治療が完遂して臭いがなんとかなるまではぜってー存命しろ。

勝手に滅ぼすな

有難いことに「羅小黒戦記の風息について何か書けそうだったら書いてみて」というリクエストを頂いたのですが、私は羅小黒戦記について、そこまで深く作品世界を把握できていない。

代わりに個人的な風息の感想文を書きました。

 

※映画の核心部のネタバレを含みます

 

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軍人墓について

軍人墓について調べたので、追記で簡単にまとめている。

 

参考にした本は以下の通りである。

小田康徳、横山篤夫、堀田暁生、西川寿勝(2006)『陸軍墓地がかたる日本の戦争』ミネルヴァ書房

田中丸勝彦(2002)『さまよえる英霊たち―—国のみたま、家のほとけ』柏書房

原田敬一(2001)『国民軍の神話 兵士になるということ』吉川弘文館

横山篤夫(2008)「戦没者の遺骨と陸軍墓地」(財)歴史民俗博物館振興会『国立歴史民俗博物館研究報告』第147集、pp.93-131

 

 

 

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